第34回国会(常会)
答弁書第一号 内閣参質三四第一号 昭和三十五年三月十一日 内閣総理大臣 岸 信介 参議院議長 松野 鶴平 殿 参議院議員矢嶋三義君提出航空自衛隊次期主力戦闘機F104Jの生産価格に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員矢嶋三義君提出航空自衛隊次期主力戦闘機F104Jの生産価格に関する質問に対する答弁書 (1)別表第1のとおりである。 (2)112万ドルの単価は、もとより、合理的な国産化諸条件を考慮して算出されている。その積算の基礎については別表第2のとおりである。 別表第1
ロッキード見積りとあるのは、33年8月同社が防衛庁に提出した「ロッキードF104Cスターファイター生産計画並びに価格見積書」(同年国会の資料要求に応じ、日本訳を国会に提出した)の「スケジュール7機数変動の際の価格概要」200機の場合の数字であつて、項目の名称は同日本訳による。ただし、( )内の項目は同見積書にはない。 (注2) 対比表の数字の相違の理由は下記のとおりである。 (イ)機体の材料部品の国産化率及び国産化の際の値上率の見方が、ロッキード資料ではそれぞれ約21%及び1.6倍、国防会議資料では、それぞれ25.5%及び1.9倍であること。 (ロ)エンジン及びとう載通信機器等につき、ロッキード資料では全部国産しない前提であるが、国防会議資料ではノックダウン機分以外は全部国産の前提をとつていること。 (ハ)FCSはロッキード資料ではASG-14改であるが、国防会議資料ではAero-13改としていること。 (注3) おのおの上記数字の2% (注4) ロッキード資料においては、冶工具の維持工数の見方が過少なのでこれを修正した。 (注5) 製作の際の慣熟曲線をロッキード資料は、82%としているのに対し、国防会議資料では、日本側の実情に即して84%とした。 (注6) F104CのFCS(ASG-14改)を全天候性のAero-13改にした場合の設計開発費をロッキード社が一応500万ドルと推定したので、これを200機に割りかけて新たに計上した。 (注7) 国産会社の技術費として約500万ドルを計上し、かつ、国産会社の一般管理費、利益をコストに対して計上した。 別表第2 F104J180機、F104DJ20機の平均単価112万ドルの説明 1 今回35年度予算案に計上したF104J及びDJの単価見積りは下記のとおりである。
2 このうち、F104DJは機数少数のため全機米国で生産し、日本では解体輸送後の再組立のみを行なう。 3 F104J 1,128,595ドルの積算根拠は下記のとおりである。
別表第1に導ける下記の項目を含む。 イ 技術者及び技術援助 ロ 経営、エンジニアリング及び製造のノウハウ、技術並びにプロセス ハ 米国支給工具 ニ 技術資料複製 ホ 企画サービス へ 開発費 (注2) 日本側で製作する冶工具及びその維持費 (注3) 次の項目を含む。 イ 20機のノックダウン機(全機ロッキードで製作) ロ 160機のハードコア(ハードコアとは日本で技術的に製作困難な機体部分で、全機ロッキード社で製作したものを購入する。) ハ ノックダウン機の組立及び160機の部品製作及び組立作業費 ニ 機体の材料部品費(全体の約40%を国産するものとして計算した。) (注4) 次の項目を含む。 イ エンジン(ノックダウン機とう載分を除き他の160機は国産するものとして計算した。) ロ FCS(ナサール型) ハ とう載通信機器等(ノックダウンとう載分を除き他の160機とう載分はそのうち約半分を国産するものとして計算した。) (注5) 次の項目を含む。 イ 輸送費 ロ 日本側技術費 ハ 一般管理費、利益 (備考)この注に説明したもの以外の計算諸元(たとえば国産化の際の値上率、加工費レート、利益等)は、いずれも別表第1に説明した107,4万ドルの計算の際よりは厳格に見積つてある。 |