質問主意書

第26回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

八丈島中ノ郷における強制土地買収に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十二年四月三十日

鈴木 一      


       参議院議長 松野 鶴平 殿



   八丈島中ノ郷における強制土地買収に関する再質問主意書

 八丈島中ノ郷における強制土地買収についての政府答弁書は、その内容において甚しく具体性を欠き到底承服し難いところであるが、その後関係農民より提出中の訴願書等につき所管行政庁において詳細検討されたものと思料せられる。よつて以下の諸点につき再度政府の所信を問う次第である。

一、昭和三十二年四月八日付質問主意書の二、五、八、九につき、各項目毎に政府の所信を具体的に説明せられたい。

二、八丈島の経済的諸条件の下において、自作農が熟地僅かに四反内外を保有するに過ぎず、しかもその生産性が本土耕地の半分以下の場合、これを補うべき薪炭林、採草地、桑園等として切替畑乃至山林の保有面積はどの程度が農家経営上理想的であるか、政府の見解如何。

三、自作農が八丈島の如き、生活及び生産資材を可能な限り自給せざるを得ない僻地において僅に二町歩内外の切替畑を保有する場合、これを過分であるとして国が、専断的に強制買収しうるとすれば、多くの農民は到底その業に安堵することを得ないのであつて、かかる措置は明かに農地法の精神に反するのみでなく、憲法上重大な問題であると思われるが、政府の所信如何。

四、被買収土地に対する被買収者各人の農業経営上における依存度につき実態調査が行われたか、調査したとすればその結果につき明らかにせよ。

五、土地の傾斜度、土質、気象条件等政令で定められた買収の客観的条件は十分調査せられたか、調査したとすればその結果を具体的に示されたい。

六、開拓計画を明示せられたい。入植者に対して買収地のどの地域にどれだけの反別を割当てるか、被買収者の増反とはどの地域に予定し、如何なる基準によつて割当てられ、実質において如何に「増反」になるか、また全体としてどれだけの熟地が出来、如何なる諸施設が予定せられているか明示されたい。

七、被買収地を開墾して優良な農地とし、適確な営農指導と相まつて「高度な農業」を導入するというが、その方法及び内容を具体的に示されたい。

八、隣接部落の末吉における既開拓地もほぼ同じ条件と思われるが、どのように優良農地が造成せられ、如何なる高度の農業が導入されているか説明されたい。