質問主意書

第26回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

朝鮮並びに台湾出身の傷痍軍人及び軍属に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十二年四月一日

片岡 文重      


       参議院議長 松野 鶴平 殿



   朝鮮並びに台湾出身の傷痍軍人及び軍属に関する質問主意書

 日本政府の命令に従い大東亜戦争に従軍し、不具癈疾者となつた朝鮮並びに台湾出身の元日本軍人及び軍属であつた者は終戦後出身国の独立に伴い自動的に外国人としての法的待遇を受けるに至つたため、日本政府より戦傷病者に対する何等の補償も受けられずあまつさえ出身国の政府はこれらの者に対しては、日本の戦争協力者として何等の援護対策もなさず、全く放置している現況である。
 従つてこれらの人々は悲惨な困窮生活にあえいでおり、これが援護と救済は焦眉の急を要する。よつて左の諸点につき責任の所在を明かにして政府の所見並びにその対策を詳細かつ具体的に示されたい。

一、政府は朝鮮並びに台湾出身の元傷痍軍人及び軍属であつた者に対して傷病、障害補償の途を講ずる意思なきや。

二、朝鮮並びに台湾出身の元傷痍軍人及び軍属であつた者が日本に帰化することを希望しても、不具癈疾者のため国籍法第四条第四号に該当する者とする事は極めて困難である。
 よつて政府においてこれらの人々が日本に帰化する事のできるよう特別の措置を計られたいと思うが所見如何。

三、政府は朝鮮並びに台湾出身の元傷痍軍人及び軍属であつた者に対して傷病、障害補償もせず、又日本に帰化する事も許可しないとすればこれらの人々に対する責任を如何に考えているか明確に示されたい。