質問主意書

第26回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

沖縄に在る国有財産と国土保全に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十二年一月十四日

田中 一      


       参議院議長 松野 鶴平 殿



   沖縄に在る国有財産と国土保全に関する質問主意書

 沖縄に在る国有財産及びその国土保全に関し左の諸点について政府の答弁を求める。

一、沖縄に在る国有財産に就いて、山林、原野、田、畑、宅地その他を種別に、その所在地市町村別の面積と管理状況はどうなつているか。

二、沖縄に在る国有財産中、一部分は米軍によつて管理されているが、それは政府の了解のもとになされているのか。

三、沖縄の地位を決めたサンフランシスコ条約には、同地所在の国有財産に就いて何等明記していないので、国有財産の上に何等かの権利を行使しようとするときは、日本政府の諒解を要すると思うが所見如何。

四、沖縄において米国が条約上の権利として、司法、行政、立法の三権を行使する場合と雖も、領土の保全に就いては、善良なる管理者の義務を怠つてはならないと思う。従つて、米軍の作為に基いて国土の一部が滅失《砂防策を考慮することなく、海岸の砂を採りその為に護岸が破壊されて、田畑が滅失して海に変じた箇所が無数にある》したような場合には、わが国の潜在主権を侵害したことになると思うが所見如何。又このような事態の発生に処して、領土保全上米国に対して意思表示をする考えがあるか。

五、所謂プライス勧告に端を発した沖縄県民の土地買上反対闘争に関する政府と国民に対する援助懇請の要点は『現在のような変形的特殊な状況下で土地が米軍に買上げられるという事は、単なる財産権上の所有権の性質を超えた重大な問題である。日本に復帰した暁と雖も、国土に瑕のつく結果が予想されるから領土権に基いて、政府の取り扱うべき問題である』として訴えている。日本国民としては、至極当然の配慮によるものである。
 政府は沖縄県民の陳情をどのように理解し、米国とどのような交渉をしたか。その経過はどうか。