質問主意書

第24回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質第三号
  昭和三十一年二月十四日

内閣総理大臣 鳩山 一郎      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員千田正君提出高層建築の隣接建物に及ぼす影響等に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。



   参議院議員千田正君提出高層建築の隣接建物に及ぼす影響等に関する質問に対する答弁書

一、高層建築物を建築するに当つての手続としては、特別の許可等は必要でなく、建築主が建築主事の確認を受けなければならないこととされているが(建築基準法第六条)、この確認は、法律上その建築物の計画が敷地、構造及び建築設備に関する法令の規定に適合していることを確認するものであつて、工事の施工方法に関する事項について直接審査するものではない。従つて建築の確認に当つては、隣接する第三者の建物に対し及ぼす影響は考慮されない。

二、従つて、建築主事は、この建築物の計画が敷地、構造及び建築設備に関する法令の規定に適合しないこと以外を理由として確認を与えないことはできないし、又損害賠償の条件をつけることもできない。

三、建築基準法では工事施工者は、工事の施工に伴う地盤のほう落、建築物の倒壊等による危害を防止するために必要な措置を講じなければならないことになつており、(同法第九十条)この規定に違反するときは、特定行政庁(建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の区域については都道府県知事をいう。)はその防止措置を命ずることができることとなつている、工事施工者が建築工事に当つて一般に他人の建築物に被害を与えた場合における損害賠償については、建築基準法には別段の規定がないので、民法の規定によることになる(民法第七〇九条、第七一六条及び第七一七条)。

四、工事の施工が隣接建築物に倒壊等の危害を及ぼすであろうことが明瞭な場合は、三に述べたとおり建築基準法の規定によつてこのような事態のおこらないような施工方法をとらなければならない。しかしながら地盤に関する問題は技術的に事前に予測できない要素が多いので、そのような方法をとつても若干の被害を生ずることもあると思う。