質問主意書

第24回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

韓国による漁船だ捕問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十一年二月二十二日

須藤 五郎      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   韓国による漁船だ捕問題に関する質問主意書

一、いわゆる李承晩ライン、それに基く日本の平和的漁船のだ捕問題は、今日にいたるまで何ら根本的解決をみざる状態であるが、李ライン撤廃・漁船だ捕ならびに長期抑留解除等に関する政府の根本方針をあらためてただすと同時に交渉の現況、進渉状態を具体的に明示せられたい。

二、昭和三十年十一月二十五日、対馬沖にて韓国側にだ捕された第一金比羅丸の乗組員に対し、政府から十二月末見舞金として金三万五千円(別に山口県より三千円)を八名分補助、困窮せる留守家族はこれに強く感謝し正月を迎えたのであるが、今年一月五日突然山口県水産部長名にて次のような通知をうけた。
   漁第五号 昭和三十一年一月五日 山口県水産部長[印]
   萩市玉江浦漁業協同組合経由
   第一金比羅丸殿
     だ捕漁船乗組員救済費補助金について
かねて交付しました拿捕漁船乗組員の見舞金については、水産庁長官より別紙写の通り通知がありましたのでこの補助金については左記事項を特に御留意の上遺憾なきを期せられるよう留守家族に御伝達方御取計い願います。
      記
一、見舞金中差入品購入費補助(一五、〇〇〇円)は専ら差入品の購入に充つること
二、差入品購入費補助により購入せられた差入品の発送前に抑留者が本邦に帰還し、又は帰還する旨の通知があつた時は、その抑留者に係る差入品購入費補助(一五、〇〇〇円)の返還をしなければならない。

右の通知は、このような明示をされなかつた留守家族に大きな困惑を与え、政府の突然の指示がその実情を無視して行われていることに対して憤りを与えている。そして右通知が、今年一月五日にとくに出されたこと及びその内容から見て、現金受領のさいは指示がなかつたことは明らかであり、また、留守家族の訴えはそのことをはつきりと裏書きしている。留守家族は、いまさらそのような指示がされても見舞金として受領したわれわれは、生活困窮のさい生活費等として使用している。政府のやり方は一方的であり勝手であり、全くむごいと訴えているのが状況である。右に関して政府の見解をただしたい。
(一) 山口県の漁第五号に見られる政府指示は、何年何月何日にいかなる形式で行われたか。その内容如何。
(二) 参議院外務委員会における外務省政府委員の答弁ではこの金額は見舞金として出されたのであるが、その内訳は水産庁が担当であると言明している。しからば見舞金三五、〇〇〇円決定にいたる経過、指示にいたる経過を明示せられたい。
(三) いずれにしても事後における政府通知第一項の指示は、現在留守家族を保護するのではなく、かえつてなすすべを失わせ、困惑させている。これは明らかに政府の責任である。これに対しいかなる措置をとる意思があるか。撤回すべきであると思うがどうか。
(四) 政府通知の第二項は全く抑留者、留守家族を苦しめる措置であると考えるが、政府の見解を問う。撤回すべきものと考えるが政府の見解如何。