質問主意書

第24回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

中央卸売市場法改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十一年二月十一日

青山 正一      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   中央卸売市場法改正に関する質問主意書

 現行中央卸売市場法は、大正十三年の制定にかかり、現に三十余年を経過しており、この間における社会経済事情の変遷、殊に人口都市集中の現象、運輸交通機関の高度の発達等により、中央卸売市場の実態も、立法当時の予想を超えるほどの変貌を見つつあるにかんがみ、同市場法改正の必要は必至とされており、政府が先般市場対策協議会を設け、これに関して諮問せられた所以であると考えるのである。しかしながら、政府の意図する所が、当面の問題のみに関する部分的改正に止まるのではないかと見られることは、甚だ遺憾である。何故に、全面的改正を躊躇せられるのであるか、次の各項に関連して、この際、政府の食品市場に関する立法に対する明確なる見解を示されんことを望むのである。

一、現行中央卸売市場法は、主として大都市における卸売市場を対象としたものであるにしても、その条章はあまりに簡単に過ぎ、食品市場法制として、遺憾とすべき点が多い。殊に、特定の市場以外の市場に関する規定を欠くため、中央卸売市場そのものの発達を妨げているものなしとしないのである。かかる見地から、現行法を全面的に改正すべきであると考えるのである。

二、市場法を改正するにあたり、特定の市場に関する制度を整備するの必要は言を待たないが、同時に普通の食品市場に関しても、基本的原則を併せ規定し、食品流通機構体系を確立すべきであると考えるのである。

三、大都市における中央市場は、特殊の性格を有するものと考えられるのであるから、これが開設その他の重要事項は、主務大臣の権限に属せしむべきは勿論であるが、これらの市場の運営に伴う認可等の行政措置については、開設者たる市の長(都の場合は知事)の権限に属せしむることとし、知事の監督を廃して、二重行政の弊を避くべきであると考える。

五、中央卸売市場の取引業務は、生産者を代表すると認むべき卸売人と、買出人側を代表すると認むべき仲買人とによつて行われている実情であるにかかわらず、仲買人の地位、性格等につき、現行法に何等の規定もないことは重大な欠陥であると考えるのである。

六、中央卸売市場における卸売人、仲買人の員数は、当該市場の実情に応じて適正に定めらるべきであるが、これに関して明確に規定すべきではないか。

七、現行法は、消費者大衆と直結している小売人の重要性にもかかわらず、殆んど何等規定するところはないが、これに登録制を設くるの可否等検討すべきものがあると考えるのである。

八、中央卸売市場指定区域内におけるいわゆる類似市場の問題については、中央卸売市場の開設者に、一定の権限を与えるの必要があり、またこれに伴い生ずることあるべき犠牲者に対しては、漁業の整理転換にあたり、現に実施せられているところに準じて、相当の補償を与えるの財政的措置を行うことを至当と考えるのである。