質問主意書

第19回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質第一一号
  昭和二十九年五月十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員青山正一君提出対中共並びに韓国漁業問題についての再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出対中共並びに韓国漁業問題についての再質問に対する答弁書

一、問題を真に解決するには韓国との間に話合いをつける以外に方法がないわけであつて、政府としては会談再開のため折角努力している次第であり、かつ、再開の暁には早急にこれが妥結をはかるため、魚族保護又は漁業規制等の見地から双方の満足し得る措置を話合う用意をしている。

二、会談再開のためには現在は主として友好第三国たる米国を通じて努力している。現在の韓国側の空気から見て例示のような措置を取ることは寧ろ適当でないと考えられる。

三、旅券発給を適当とするや否やは具体的場合により異るが主管大臣において、漁業関係の団体から代表者を派遣して中共政府と交渉することを適当と認め、文書による推薦がある場合は、外務省は例外として、旅券の発給を考慮し得る。

四、民間代表者の話合は政府の立場を拘束するものではない。しかしその内容が政府としても適当であると考えられる場合にはこれを実施するための国内的措置(法制的措置を含め)を取ることとしたい。

五、中共又は韓国による不法だ捕抑留の被害を蒙つた漁業者に対する国内措置としては、前回回答いたしたとおり漁船の特殊保険制度及び漁船乗組員給与保険制度の活用を図る外融資のあつ旋に努めることとしたい。
 なお、法の適用範囲を拡大し、且つ、恒久的な措置とすることについては同法が特殊な事態に処する臨時措置であるため今これの適用を拡大し、又は恒久法化することは困難であるが併し、代船建造融資の円滑化の方策については慎重に検討することといたしたい。

六、漁船の特殊保険及び漁船乗組員給与保険の保険料率の引下げあるいは保険料の一部の国庫負担の点は、現在においてはこれらの保険は、いずれも相当な支払超過となつており、その超過部分を国庫で補てんしている実状であるので、今後の問題として慎重に検討するが、その早急な実施は困難であると考えられる。

七、政府としてわが国民当面の重大関心事である漁業問題の解決のため、従来努力を続けて来た次第であり又これが打開のためには、関係諸外国の理解と協力を得ることが必要であると認められ、今後とも適当なあらゆる機会を利用し、問題の解決を計りたいと考えている。しかしながら目下の国際情勢にあつては本件のごとき計画が問題解決策となるや否や疑問があるのみならず本計画の実現についても困難ではないかと思われる。