質問主意書

第19回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質第一号
  昭和二十八年十二月十九日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員一松政二君提出米国対日援助費及び終戦処理費の処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員一松政二君の「米国対日援助費及び終戦処理費の処理」に関する質問に対する答弁書

一、終戦後アメリカから与えられた経済援助は、当時困窮状態に陥つたわが国経済の救済のために、政府が連合国総司令部に強く要請した結果与えられることになつたものであつて、政府としては、当初からこれを一応債務であると心得ておる次第である。
 ただ終戦直後においては対日援助の管理が一切占領軍当局によつて行われた経緯もあり、また約二十億ドルと報ぜられる対日援助費の中には、わが国の債務と認められるか否かについて充分検討を加えた上で決定すべき性質のものもあるから、今後の交渉によつて債務として認むることの適当なものを国会の承認を経て確定する所存である。

二、終戦処理費は、占領下に置かれたわが国の占領行政に必要な経費である。占領行政費は、被占領国が負担することは、国際法並びに慣例上通常認められるところである。

三、以上のとおり、両経費は、それぞれ別個のものであり、両者を相殺するとか、差別余剰分を返済するとかいうべき筋合のものではないと考えられる。