第16回国会(特別会)
答弁第二号 内閣参質第二号 昭和二十八年七月二十四日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 河井 彌八 殿 参議院議員須藤五郎君提出西日本の水害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員須藤五郎君提出西日本の水害に関する質問に対する答弁書 一、西日本水害被害額調(単位千円) 第一 種類別被害額 1/2 第一 種類別被害額 2/2 備 考 1 農林水産業施設被害額中には、施設被害にとどめ農作物の被害については、詳細調査中。 2 水産関係被害額中には、漁港施設被害のみ計上、外に、判明せるもの(養殖物、水産製品等) 一、一四一、〇六〇千円あり。 3 直轄補助河川等には、都市単独災害額をふくまない。 4 各省所管施設は調査中。 5 計数は整理中につき、相当変動ある見込。 第二 地域別被害額 (単位千円)
1 鉱工業商業関係、国鉄私鉄港湾等関係、郵便電信電話関係、直轄河川道路関係については、県別に分けない。 二、今回の水害は、去る六月二十五日から、四日間にわたつて、鹿児島を除く九州各県及び山口県に、稀に見る大豪雨が、降り続き、局地的には、九百ミリ以上にも及んだものに、よるものと考える。 三、今次西日本水害については、次のような措置を講ずることとした。 (一)災害救助法による救助の基準を緩和し、災害対策予備費から災害補助費国庫補助金四億円を支出するとともに、直轄河川港湾の災害復旧、侵水耕地の緊急排水等に要する経費を支弁するため、災害対策予備費から十五億円を支出した。 (二)租税上の措置としては、災害被害者に対する租税の減免及び徴収猶予等に関する法律その他現行法令の規定により、所得税その他の租税について軽減免除、徴収猶予、税額の還付、申告期限の延長等能う限りの措置を講ずることとしているが、更に今回政令を改正して、所得税について徴収猶予又は税額の還付をなしうる範囲を拡張し、被害者の実情に即応することとした。 (三)金融上の措置としては、次のような措置を講じている。 (1)公共災害復旧に対する国庫補助金等のつなぎ融資として資金運用部資金及び簡保資金三十億円の短期融通を行つた。なお更に十億円を追加する方針である。 (2)災害対策の特別措置として総額約三億円の遺族国庫債券買上償還を行うこととした。 (3)住宅金融公庫においては、四億円の別枠を設定し、住宅復旧の促進に資することとした。 四、(一)災害復旧融資に充てさせるため、六月末及び七月末に期限の到来する指定預金の引揚期限を延期するとともに、災害地の商工組合中央金庫等の金融機関に対して二十五億円の新規指定預金を行うこととし、更に農業共済基金の支払の円滑に資するため政府再保険金のつなぎ融資として、農林中央金庫に対し三十億円の指定預金を行つた。 (二)中小企業金融公庫が成立後引き継ぐことを条件として、中小企業に対し日本開発銀行から利率六分五厘で十億五千万円の融資を行わせることとした。 (三)中小企業信用保険については、保険料負担を軽減するため、実施に必要な具体案を作成中である。 (四)国民金融公庫においては、特に利率を六分五厘に引下げ、六億円の貸付を行わせる外、既往の貸付についても実情に応じ六月間の返済猶予を認めることとした。 (五)営農資金については、農林中央金庫において五十億円程度を融通することとし、利子補給の措置を講ずることとする。 (六)以上の外、金融上の措置としては、支払手形の決済期限の猶予、定期預金の期限前払いもどし等災害の状況に応じ適宜迅速適確な措置をとるよう金融機関を指導している。 |