質問主意書

第16回国会(特別会)

質問主意書


質問第三号

石川県河北郡内灘地区の「内灘演習場一時使用に関する件」についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十八年七月二十四日

井村 徳二      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   石川県河北郡内灘地区の「内灘演習場一時使用に関する件」についての質問主意書

一、石川県河北郡内灘地区は、日米行政協定に基く「内灘演習場一時使用に関する件」として、昭和二十七年十二月五日の閣議において、閣議了解事項として決定せられた。その閣議了解要旨によれば「内灘演習場一時使用に関する件」として
 「石川県河北郡内灘地区は昭和二十八年一月一日より同年四月末まで一時使用する。」
と明確に示されている。且つ、閣議において決定以前、地元民との交渉折衝においても政府当局は、明らかに「昭和二十八年一月一日より同年四月末迄一時使用する」の旨を再三再四明言してきた。それのみか、「内灘演習場」の昭和二十八年一月から四月迄の期限附使用は、その代地の発見確定までの一時的の使用であつて、その当初の交渉折衝の過程においては、「無期限使用」乃至は「継続使用」などについては、政府当局からは内灘地区地元民に対していささかも明確な意思表示はなかつたのである。
 以上の事実は、内灘地区地元民の陳情によつてもまた明らかにこれを確認することができる。のみならず昭和二十八年一月から四月までの一時使用については、本件についての政府代表として地元民と交渉折衝した林屋前国務大臣も第十六回国会の衆、参両院の各委員会において陳述している。

二、政府は、昭和二十七年十二月五日の閣議了解要旨通りに「内灘演習場一時使用に関する件」とその題目においてさえも、「一時使用に関する件」と明白にしていたために、内灘地区の試射演習は、二十八年四月末日これを停止した。而して、その停止は、政府当局は内灘地区地元民に対する所謂「公約」によるとも言明したのである。

三、政府はかくして昭和二十八年四月末日、内灘演習場の試射はこれを停止したが、その後といえども地元民との交渉折衝は頗る不充分であり、それにもかかわらず、同年六月十三日に「六月十五日から試射を開始する」と言明したのみか、六月十五日に試射演習を開始した。この事実に対しては内灘地区の地元民は勿論のこと石川県民あげて政府の公約違反に対して、はげしい反対を未だ続行している。
 これを要するに内灘地区の演習場使用については、その初めから、政府側に交渉説得上に明らかな手落ち、食言等があつたことは言うまでもないことである。それのみならず政府は当初の所謂「公約」に違反する不信的な行為を敢て犯しているのである。かかるが故に政府は昭和二十七年十二月五日の閣議了解要旨が明示するように「内灘演習場」はこれを昭和二十八年一月から同年四月末日までの一時使用とし、速やかにその代地を他に求め、内灘地区から演習施設一切を即時撤去すべきである。
 以上に対する政府の明確なる回答を承りたい。

  右質問する。