質問主意書

第15回国会(特別会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質第九号
  昭和二十七年十二月十二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員片岡文重君提出戦傷病者及び戦没者遺族に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員片岡文重君提出の戦傷病者及び戦没者遺族についての質問に対する答弁書

(一)身体障害者の雇傭促進については、わが国現下諸般の情勢にかんがみ、これが雇傭を法律をもつて強制することよりも、広く国民全般特に雇傭主の理解と認識を深め、同胞愛を基調とする雇傭勧奨の措置をとり、その最も適する職場に導くように努力することが適当であると考える。

(二)旧傷病軍人の恩給については、国家財政その他諸種事情を考慮して増額改正したいと考えているが、その具体案については、目下慎重検討中である。

(三)戦傷病者、戦没者遺族等援護法における軍属に対する年金については、旧令による共済組合等からの年金受給のための特別措置法における内地勤務の軍属に対する処遇との権衡を図るため、受傷した地域及び原因について軍人と異なる制限を設けており、一応妥当なものと考えるが、なお将来の研究にまちたい。
 なお、援護法が暫定的であるというのは、軍人恩給が復活した後においては、同法による軍人に関する処遇は、恩給法により行われるという趣旨である。

(四)恩給法特例審議会の建議に基く傷病軍人恩給の具体的改正については、目下慎重に検討中である。

(五)設問の例の如きものに対する保護対策としては、日韓協定の成立まで暫定的に、その者について生活困窮の事実があれば、生活保護法の保護に準じ、従来日本国籍を有していた時と同様に取り扱い、同法に規定する保護を行つている。

(六)戦傷病者の援護については、戦傷病者戦没者遺族等援護法の施行により、一応その対策が確立されたが、なお、白衣の募金等にみられる如く、社会的更生のできない者が相当の数にのぼつているので、これらの人々に対しては生活の援護を行うとともに、職業訓練、就職のあつ旋、更生資金の貸付等総合的な対策を講じ、その社会的更生を促進せしめるよう必要な措置をいたしたい。