質問主意書

第15回国会(特別会)

質問主意書


質問第八号

通商産業省鉱山保安局長の炭労争議に介入する通牒についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十七年十一月二十日

吉田 法晴      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   通商産業省鉱山保安局長の炭労争議に介入する通牒についての質問主意書

一、昭和二十七年十月三十一日付「争議中における採炭切羽維持について」の通商産業省鉱山保安局長名通牒によれば「争議中においても坑内外保安の確保」のためには、「切羽の進行」即ち採炭のためにも「所要の勧告を行」い得、或は「鉱山保安法第二十五条による命令を発」し得ることになるが、
1 かかる通牒を発することは争議に介入することになるが政府の所見如何。
2 本通牒は「鉱山における人に対する危害の防止」を第一義的目的とする鉱山保安法制定の趣旨に反しており、適当と認め難いが、これに対する政府の見解を承りたい。

二、本通牒に基き鉱山保安法第二十五条によるものとして誤れる命令が切羽進行のため発せられたとしても、争議中の労働者は直接或いは間接にもこれに拘束されるものでないから、これを拒否しても、鉱山保安法第五条には勿論、直ちに労働関係調整法第三十六条の違反に該当するものでないと考えるが、この点についての見解を承りたい。

三、本通牒の意義効果については、通産次官の口頭による回答或は衆議院通商産業委員会における答弁中にも述べられているが、その趣旨はその後具体的に如何なる方法で各鉱山保安監督部長に伝えたか承りたい。

四、保安委員会は鉱業権者の保安に関する責務、保安管理者の保安に関する職務を民主的に行うための機関と解せられるが、今回の如き不当不法な通牒に基く勧告命令が鉱山において実施せられんとする場合これを阻止し得る唯一の機会となるであろうが、保安委員会委員のかかる場合の役割について政府の意見を承りたい。