質問主意書

第15回国会(特別会)

質問主意書


質問第五号

水産基本政策についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十七年十一月一日

青山 正一      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   水産基本政策についての質問主意書

 水産基本政策に属する左記の事項は、何れも当面の急務であると確信するのであるが、しかも未だ全く実現せられず又は適切な措置が講ぜられていないことはまことに遺憾である。これに対する政府の見解を詳細且つ具体的に明示せられたい。

第一、水産資源対策の確立

 さきに水産資源保護法が制定せられ、その実施に伴い若干の施設が講ぜられたとはいえ、甚だしく姑息不徹底であり、立法の目的を達し得るものと認め難い。少くとも、この際、次の諸項を徹底的に実施すべきである。
一、水産資源に対する基本的調査を急速に実施すること。
二、稚魚の実態調査に基いて、その乱獲の防止と繁殖の保護のため、有効適切な制限措置を講ずること。
三、科学的調査研究施設の充実強化を図ると同時に、漁業取締指導監督の強化を期すること。

第二、漁業金融の改善

 漁業金融の改善については、種々な制度、施設の計画が伝えられたにかかわらず、僅かに断片的部分的なものが実現されたに止まり、根本的の苦難に至りては、毫も改善せられないのは、まことに遺憾である。この際、次の諸点について、政府の見解を詳細且つ具体的に明示せられたい。
一、漁業金融を行う金融機関に対して低利資金融資のワクを大幅に与えること。
二、漁業手形制度を立法化すること。
三、漁業共済基金制度を立法化し、これを更に、漁業災害等の補償制度にまで発展させ、漁業金融についての真の裏づけたらしめること。
四、漁船建造その他の設備資金については、五年を下らざる期間において、著業資金については既存のものは一年、新規のものは一年半乃至二年の期間において融資し得るよう前記各項と関連せしめて、その融資方法を確立すること。
五、漁業共済基金の積立については、免税措置を講ずること。

第三、漁業に対する課税方法の改善

 漁業の課税方法は、最近の税制改革により、一部分の実現を見たけれども、なお、次の諸点につき改善の要があると考えるのである。
一、割当課税をしていないとは、関係当局の言明にもかかわらず、依然として改まつていないから速やかに改めること。
二、不漁の場合の課税減免の制度を設けること。
三、漁業経営費の決定にあたり、予め漁業者側と協議して、県営費査定基準を作成して置き、これによることとすること。
四、自家労働の対償を経費として認めること。
五、漁業を附加価値税の対象としないこと。
六、青色申告の帳簿様式を簡易化すること。