質問主意書

第15回国会(特別会)

質問主意書


質問第二号

韓国近海における本邦漁船の操業安全の確保についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十七年十月二十五日

青山 正一      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   韓国近海における本邦漁船の操業安全の確保についての質問主意書

一、領海の範囲を三海里とし、その以外の公海における漁業の自由であることは、国際法上の道義とせられている所であるが、さきに韓国政府が自国の領海以外の広汎な水域にわたり、一方的に所謂李承晩ラインを宣言し、これによつて本邦人の正当な漁業を排除せんとしたことの非理不法なることは明白である。然るに爾来、韓国官憲は、公海における本邦漁船に対して、屡々不法射撃又は拿捕を敢てしたことは、まことに言語道断の暴挙である。

二、最近、連合国軍が作戦上の必要を理由として、防衛水域なるものを設定するや、韓国官憲はこれに便乗して、不法行為を一層強化するの観を生じ、事態を益々紛糾せんとするに至つたことは、遺憾である。

三、いうまでもなく、該水域は、重要漁場に属しており、現に約千八百隻が、全国各地から出漁しているのである。若し万一現在の如き立入禁止がこのまま強行せられるにおいては、約三万数千の失業者を生じ約二十二万トン七十五億円の漁獲を失うこととなり、さらでだに沿岸漁業が極度に不振の折柄、わが漁業界の受ける打撃が如何に甚大であるかは、想像にあまりあるのである。

四、政府は、本件の処理にあたり、飽くまで断固たる決意をもつて対処せらるべきを確信するものであるが、この機会において、本問題の真相と、現に採りつつあり又は今後採らんとする措置、対策につき、その所信を明示せられんことを切望する次第である。