質問主意書

第13回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質第一一号
  昭和二十七年七月二十五日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員島清君提出南西諸島の領土権回復に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員島清君提出南西諸島の領土権回復に関する質問に対する答弁書

1 政府としては、できるだけ南西諸島との関係を正常のものとするように従来から努力し、米国側とも話合を重ねた。
 南西諸島在住同胞に対しては、深く同情しておるが、今後ともこれらの諸島住民の希望達成のためあらゆる努力をする方針である。

2 米国側も、これら諸島及びその住民に関するわが国民及び政府の気持ちを充分に理解しているものと信じている。
 現地米国関係当局も、軍事目的に支障がない限り、経済的及び文化的の旧関係を漸次回復させるといつている次第である。

3 今般平和条約が発効してから、南西諸島在住同胞の本土への渡航制限を全面的に撤廃し、研究教員の派遣を受け入れ、更に最近合意された本土と南西諸島との間の貿易及び支払に関する覚書においても、貿易及び送金等についてできるだけの自由と簡易化とを計つた次第である。又、八月には沖縄及び奄美大島に政府の連絡事務所を開設し、現地米国官憲との連絡、現地と本土との間の渡航及び貿易並びに文化の交流に関する事務、その他各種事項の調査連絡を行わせ、漸次各般の懸案事項を解決して行く考えである。

4 これを要するに、これら諸島住民の希望が早急に実現し難いとしても、政府は、米国側と常時交渉して要望達成に努力する考えである。