第13回国会(常会)
答弁書第五号 内閣参質第五号 昭和二十七年四月二十二日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 佐藤 尚武 殿 参議院議員千田正君提出平和条約の発効に伴う特定資産の処置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員千田正君提出平和条約の発効に伴う特定資産の処置に関する質問に対する答弁書 一 本邦為替管理の建前からいえば、本邦通貨で表示された有価証券、小切手、債務証書等の輸入を無制限に許可するわけには行かないが、連合国によつて留置清算せられない日本国民のこれら財産で従来その輸入若しくは支払等が制限されていたものについては、当該国と条約が発効した後にできる限りその制限を解除し若しくは緩和したいと考えている。しかしながら、この場合にも具体的な制限の解除若しくは緩和に当つては個々の事例についてその実情を確認した上これを行うこととし、かかる制限の解除若しくは緩和を悪用して本来の為替管理の建前をみだすことのないように措置することが必要であると考えている。 二 軍票、その他本邦通貨以外の通貨で表示された請求権については、連合国による留置清算の対象から除外されるか否か疑問である。除外された場合の日本内地への輸入及び支払については、軍票及び旧占領地通貨を除き、前記一と同様に取り扱うつもりである。 (一) 外地に本店を有する閉鎖機関の在外債務の弁済の順位は、当該機関の本邦内における一般債務に次ぐもので社債の弁済及び株主への配分に優先する結果となる。 (二) 外地に本店を有する閉鎖機関の外地勤務社員の未払給与、退職手当、身元保証金、社員貯金、預け金等については、それらがその機関の本邦内の店舗に係る債務である場合、既に国内債務として弁済の対象となつているが、外地の本店その他の営業所に係る債務である場合は、原則として(一)の趣旨に従い、処理することとなる。 現在税関において保管中の証券等は、条約発効後すみやかに所有者に返還する準備をすすめているが、税関の事務上の関係もあり、実際に所有者に返還されるのは本年度末頃になる見込である。 なお、返還された証券等をそのまま有効として取り扱うか否かについては、現在においては確答し得ない。 |