第12回国会(臨時会)
答弁書第七号 内閣参質第七号 昭和二十六年十一月三十日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 佐藤 尚武 殿 参議院議員松原一彦君外四十七名提出参議院議員細川嘉六君を逮捕し公職追放措置にいでた問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員松原一彦君外四十七名提出参議院議員細川嘉六君を逮捕し公職追放措置にいでた問題に関する質問に対する答弁書 一、細川嘉六君に対する被疑事実は左記のとおりである。 なお、右の被疑事実につき東京地方裁判所裁判官から犯罪の嫌疑あるものとして、逮捕状及び勾留状が発せられたものであるから、念のため申し添える。 記 被疑事実 被疑者は日本共産党臨時中央指導部員であるが、他の同部員等と共謀の上、昭和二十六年七月十九日頃より同月二十六日頃迄の間、東京都内において連合国占領軍に対して反抗、反対し、且つ連合国に対する虚偽又は破壊的批判を記載した一九五一年七月二十六日附「印刷活動強化のために訴える」日本共産党臨時中央指導部と題する文書等をそれぞれ多数作成の上、同月二十八日頃これら文書を日本共産党鳥取県委員会その他同党全国下部機関にそれぞれ配付し、もつて団体等規正令第二条第一号、第三条、占領目的阻害行為処罰令第一条に違反する行為をなしたものである。 二、細川嘉六君に対する公職追放の措置は、連合国軍最高司令官が日本共産党中央委員徳田球一君等に対する公職追放について昨年六月六日発せられた書簡による指令が適用されたものである。すなわち、右書簡による指令は、覚書第五四八号の条項(団体等規正令第二条)に違反した個人に対しては覚書第五五〇号(公職追放令)の制限が加えられるという法的根拠を明示し、且つその法律上の先例を設定されたものであつて、これは最高司令官の有権的な解釈によるのである。細川嘉六君は最高司令官の意思に基き右各覚書に該当する十分な理由ありと認定されたものである。 |