第11回国会(臨時会)
質問第一号 遊興税に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十六年八月十八日 カニエ 邦彦 参議院議長 佐藤 尚武 殿遊興税に関する質問主意書 昭和二十一年一月二十一日連合国軍最高司令官マツカーサー元帥は日本政府に対し、「日本における公娼の存続はデモクラシーの理想に違反し、且つ全国民間における個人の自由発達に相反するものである」との覚書を送つてきたが、これに対して日本国政府は直ちに国内における公娼の存在を直接乃至間接に認める一切の法令を撤廃した。 これによつて昭和二十一年二月十日までに公娼制度に関するあらゆる地方法令は廃止され婦女を売淫行為のために拘束する一切の契約並びに合意は無効とされ前借金等に対しては婦女は売淫によりその負債を返却する義務がないものとされた。 従つて内務省ではこれが趣旨にのつとつて昭和二十二年八月二十日地方局財政課長の名で「地方税遊興税の賦課に当つては旧公娼制度及びこれに関するものの特別行為に対する料金に対して課税するということは適当でない」との通牒が発せられた。 しかるに昭和二十五年九月二十八日地方財政委員会では地財委税第五十三号で前記内務省地方局財政課長の「遊興税の賦課について」の通牒を廃止し遊興税の確保方を要請したが、これら一連のことがらより次の諸点について解答を致されたい。 一、昭和二十二年八月二十日内務省地方局財政課長は「公娼制度及びこれに関するものの特別行為に対する料金に対して地方税遊興税を課することは娼妓解放の趣旨から適当でない」との通達をなしているにもかかわらず二十五年九月二十八日には地方財政委員会でこれを廃止しているが、このことは公娼制度廃止の趣旨に違反しないか。 一、公娼制度が廃止された今日、個人の自由意思による性行為まで遊興税の課税対象にしていることは適当であるかどうか。 一、講和会議後政府は公娼制度を復活する意思があるかどうか。 |