第9回国会(臨時会)
質問第一号 漁業経営合理化に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十五年十一月二十四日 青山 正一 参議院議長 佐藤 尚武 殿漁業経営合理化に関する質問主意書 一 漁業金融の改善について (一) 漁業金融については、その特殊的な性格から見て、独自の金融機関を設置することが根本対策であると考える。 (二) 現行の漁業共済制度並びに漁業手形制度は、暫定措置の観があるが、これを恒久的制度とし法制化すべきである。 (三) 漁業災害に対する補償制度は、国家の負担において創設する必要がある。 (四) 昨年実施せられた漁業手形の償還期限は一ケ年なるが、漁況の不振、一般経済界の金詰まり等のため、予定の如く償還することは不可能の実情にあるから、これを一ケ年延期し当面の窮状を救うべきであると考える。 以上の諸問題に関し、政府において如何なる用意があるかを承わりたい。 二 漁業課税の改善について (一) 徴税目標達成のための割当課税は、誅求に流れるの弊害が甚だしいからこれを改めるべきである。 (二) 不漁の場合における課税緩和の制度を設ける必要がある。 (三) 漁業を附加価値税の対象とすることは不当である。 (四) 漁業経営費査定基準は、漁業者側の意見を徴して決定することとし、又年度内に支払済の船体機関の修理費は当該年度の経費と認むべきである。 (五) 自家労働の対価を経費として認むべきである。 (六) 青色申告の帳簿様式を簡易化すべきである。 以上の諸問題は、漁業者の負担軽減上急務と認められるが、これに対する政府の見解を承わりたい。 三 経営費の低減並びに魚価の維持の方策について (一) 漁業用資材の保持並びに施漁法(特に電波、音波、光等の応用)に関する研究施設を強化すべきである。 (二) 保蔵設備の普及強化を図るため助成方法を講ずべきである。 (三) 給氷費を含む輸送費の低減を図らねばならぬ。 (四) 漁業用資材、燃油の価格引下げを図るため、生産奨励金の制度を設くべきである。 (五) 市場における水揚金の即時決済を可能ならしめるため、適当の措置を為すの必要がある。 以上は、漁業経営合理化達成上急務と認められるが、政府の所見を承わりたい。 |