質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第六一号

内閣参質第五〇号
  昭和二十五年五月二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員石川準吉君提出占領政策誹謗の言動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石川準吉君提出占領政策誹謗の言動に関する質問に対する答弁書

 言論出版に関する各種取締法規は、終戦直後一切廃止され、日本国憲法第二十一条によつて一切の表現の自由が保障されることとなつたのであるが、一九四五年九月十日附覚書「言論及び新聞の自由に関する件」によつて(1)公式に発表せられざる連合国軍隊の動静又は(2)連合国に対する虚偽又は破壊的な批判及び(3)風説等については、何人も論議し得ないこととされ、言論出版に関し最少限度の制限が設けられている。
 御質問の秋田市記念会館における野坂參三氏の演説内容については、告発に基き右覚書違反の事実の有無について検討を加えており、遠からず処理が決せられるものと考えており、その他の御質問のような事実についても検討いたしたいと考える。しかしながら、覚書によつて保護されているのは特殊の法益であつて、占領政策の誹謗となるかどうかの認定については、少くともその法益の帰属する連合国側の意見を尊重しなければならないのであつて、憲法によつて言論の自由が保障せられている趣旨をも勘案して事件の処理には慎重を期したいと考える。