質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質第四九号
  昭和二十五年五月二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員吉田法晴君提出炭鉱坑内労働者の賃金及び炭鉱設備資金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田法晴君提出炭鉱坑内労働者の賃金及び炭鉱設備資金に関する質問に対する答弁書

一 炭鉱坑内労働者の一ケ月分の賃金額について

 炭鉱労働者の基準賃金についての石炭鉱業連盟と炭鉱労働組合連合会(炭労)の協定は、坑内夫については一方当り平均三六三円と定めており、賃金ベースの正確な表現は一方当り金額を用いることになつている。
 これを月額に換算するときは、坑内夫については、一ケ月二十二方を平均稼働日数とする慣わしであるが、此の場合基準賃金は約八千円となる。
 坑内夫の平均稼働日数を二十五方とすることは一般的ではないが、何れにせよ、賃金基準は、正確には、坑内夫一方当り平均三六三円と言うのが正しい訳である。

二 炭鉱設備資金について

1 石炭企業に対する商工中金の融資は現在までに行はれていないが、中小企業等協同組合法による組合を結成して、融資申込をすれば、個々に検討の上貸出されることになつている。ただし特別の融資の枠は設定されていない。なお、商工中金は見返資金によつて五億の増資が実施され、本年度中にはこれに基き相当額の債券発行が行はれる予定であるから、これによつて財源確保される筈である。
2 炭鉱設備資金については、昭和二十四年度において、対日援助見返資金から四十一億円の融資があつた。本年度においても前年度からの継続工事を完成せしめるために、資金については引き続き見返資金融資が必要であるから、見返資金の業種別配分計画において、その所要額を研究中である。
 なお炭鉱設備資金の特殊性に鑑み、見返資金以外においても、今回大幅の債券発行が予定されている興銀、勧銀、北拓等に対し、炭鉱向融資の協力方を要請しており、特に中小炭鉱に対する設備資金金融については、その緊急性を痛感し、前述の方法による努力と並行して、見返資金の中小企業向協調融資の対象に石炭鉱業を加える措置の具体化等をも検討中である。