質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第四五号

内閣参質第三三号
  昭和二十五年三月十七日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員油井賢太郎君提出度量衡器の検査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員油井賢太郎君提出度量衡器の検査に関する質問に対する答弁書

 終戦直後においては、急激に需要の増加した度量衡器を製作するための良質の資材が得られず、且つ、全国の検定設備の大半が戦災によつて焼失した等の原因によつて、粗悪な度量衡器又は不正確な度量衡器が市間に流布し、商取引の公正を害する傾きがあつた。その後需給関係も稍々安定し、且つ、検定設備も或る程度補足されたため、度量衡器の品質も漸次向上してきており、他方政府は往時の粗悪な度量衡器又は不正な度量衡器を速かに一掃するために、その取締に尽力している。
 元来度量衡器については、国及び都道府県が、度量衡法に基いて検定を行つているが、度量衡法は明治四十二年の制定にかかり、種類、構造、公差等が必ずしも時宜に適しておらず、経済取引の実状から遊離しているうらみがある。又検定技術に関しても、戦後の地方自治制度の実体に即応した制度がなく、検定の全国的統一が困難な状態である。
 そこで現行度量衡法を改正する要望は、夙に各界から起つており、且つ、第五国会においても度量衡法改正に対する質問があつたので、政府は合理的な度量衡制度を確立するために改正法案を検討中であり、近く国会に提出する予定である。
 更に検定の正確、取締の徹底を期するためには、中央地方を通じて、現在の設備及び人員では必ずしも充分ではないので、この点、財政の許す範囲内において、予算上の適当な措置をとる必要があると考えている。
 次に検定手数料については、現行手数料は度量衡器の種類によつて均衡を失している向もあるので、なるべく速にこれを改訂し、適正妥当な手数料制度の確立を意図している。
 更に輸出すべき度量衡器に関しては、現在稈秤、天秤、台秤、巻尺、体温計の五品目を輸出品取締法の第三条商品として指定し、規格を定めて検査を行つているが、今後これに輸出の見込まれる度量衡器を大幅に追加し、又は同法第四条商品に繰り入れて、検査の厳正を期し、もつて粗悪度量衡器の輸出阻止、輸出度量衡器の品位向上を図る所存である。