質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第四四号

内閣参質第三一号
  昭和二十五年三月十七日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員三好始君提出農地証券の買上償還に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員三好始君提出農地証券の買上償還に関する質問に対する答弁書

一 農地証券の買上償還資金は、政府より日本銀行を通じ、同行の農地証券代理店である日本勧業銀行及び北海道拓殖銀行(以下買上機関という。)へ交付する。その交付時期及び金額については、買上機関より毎日提出させる農地証券買上償還金額報告書に基き、買上機関の買上資金に不足を生ぜず且つ買上資金の過大の保有を生じしめない配意の下に決定した適時必要額を毎月数回に分割して、交付している。従つて買上機関が買上資金を一時的に他に融通するが如きこともなく且つ又買上資金の不足により買上事務に支障を来たすが如きことはないよう措置している。
 なお買上機関の買上償還資金は、日本銀行の預け金とし、「農地証券償還資金」として、他の資金とは別途に経理することになつている。

二 農地証券の買上償還事務は、国債事務の一部であつて、国債に関する事務は「国債に関する法津」(明治三十九年法律第三十四号)第一条の規定により日本銀行(支店代理店及び国債代理店)のみが取扱うことになつている。ただ、農地証券については、その特異の性格に鑑み特に日本勧業銀行及び北海道拓殖銀行がそれぞれ日本銀行の代理店、即ち日本銀行農地証券代理店たる資格においてこれが償還事務を取扱せることになつたものである。
 他方、農地証券は一般の国債と異り元利金の支払は、元利均等償還の方法によること、元金の一部償還が三月三十日以降行われること、又利賦札の欠けたものの取扱があること等買上償還事務が非常に複雑であるので、農業協同組合を日本銀行の代理店とすることは、一般代理店たる両二行以外の銀行と同様見合せることとした。
 右の結果証券所有者に対し多少不便があることと思われるが、農業協同組合が証券を取り纏めて一括代理買上請求を行うこともできるので証券所有者の経済的及び時間的負担は、この方法によつて解決できるものと考えられる。

三 買上機関に対する買上事務取扱手数料については、買上事務取扱に要する経費の必要額につき、目下調査中であるが予算の範囲において近く適正な決定をすることにいたしたいと考えている。

四 農業協同組合が各証券所有者の委任に基いて一括買上請求をすることは、証券所有者と協同組合との関係であり、他方政府より支給する手数料は買上機関に対してのみ行うものであるので、買上機関が農業協同組合の一括買上請求処理によつて事務負担が軽減されたため、手数料も交付すべきか否か等については買上機関と農業協同組合において適当に決定すべきものであると思われる。