質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第三四号

内閣参質第二六号
  昭和二十五年二月二十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員梅津錦一君提出電力割当制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員梅津錦一君提出電力割当制に関する質問に対する答弁書

一、五〇〇キロワツト未満の産業用需用の割当方法については、電気料金制度が昨年十二月十三日に改正され第四・四半期の割当を行う時期と切迫していたため、混乱を避けるため取敢えず従来の方法を踏襲したのである。
 総理庁商工省告示第四号によつて、昭和二十三年四、五、六月の使用実績が企業実体に即応しない場合には通商産業局長の指定する月の実績に変えることができることとなつている。

二、追加使用料金は、物価庁告示第一〇〇二号により割当電力量に対する超過使用分について支払われることになつている。これは水力発電原価と火力発電原価との間に著しい差があり、割当電力量以上の発電は火力により賄わねばならぬので、この火力原価に見合うものを火力料金としたものである。割当電力量については、これが実情に即応するよう政府は常に研究している処である。
 然し年初以来の異常豊水により、二月に限り、必要最少限度の追加割当を行うこととなつたが、これは一定の基準で割当を行う結果止むを得ず生ずる不均衡を是正するため又は割当当時予測し得なかつた事情を補整するためのものである。
 なお業種別使用基準を実体に即するよう常時検討を加えている。

三、昭和二十二年四、五、六月以降特に発展した企業で上記月の実績を加味することが、その実体に合わない企業に対しては、その割当を合理的ならしめるよう実績を特定月に変更することができるためである。
 なお実績を加味するものは五〇〇キロワツト未満の産業用需用であり、昭和電工の場合は殆んど五〇〇キロワツト以上の大口工場であるから実績を基準とした割当を行つていない。

四、昭和二十二年四、五、六月以降特に発展した企業については、追加割当の方法によらず割当当初において充分考慮して行うべきであり、一定の業種別使用基準により割当てるものに対しては特定月の実績に変更することとなつている。

五、産業用五〇〇キロワツト以上の需用者に対しては生産計画、生産能率等政府の産業政策に応じて個別の割当を行つているので個々の需用者間の割当量に多少の差もあり従つて超過料金の支払額に差のあることはやむを得ないところである。
 産業用小口電力需用等五〇〇キロワツト未満の需用については、一律基準による割当方法を行つているため、個々の工場の電気使用原単位及び操業度によつて超過料金の支払額に差のあることも止むを得ない実状である。

六、産業用大口電力需用に対しては、生産原局において生産計画を考慮して個別割当を行つているので過不足は余り著しくないと考える。
 産業用の五〇〇キロワツト未満の需用に対しては、業種毎の一定の基準により割当てているので、操業度の低い工場では当然割当量に対する未達となるので未達分を見込んで総枠を策定しこの枠内で一律の基準による割当を行つている。
 なお現実に出る未達量を計画数値と合致させるため未達量の集計と検討は常時これを行つている。
 なお昭和二十五年度以降においては、前号の如く需要部門の負担能力を充分考慮することの是非について目下検討中である。