質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三号

内閣参質第二五号
  昭和二十五年二月二十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員川上嘉君提出奄美大島と日本本土との交通、貿易、送金等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川上嘉君提出奄美大島と日本本土との交通、貿易、送金等に関する質問に対する答弁書

一、交通

 奄美大島への渡航については、昭和二十四年三月十五日以降は、各都道府県を通じ、地方民事部を経由総司令部に渡航手続をなし、その許可を受けた者のみが自費で渡航出来るようになつている。去る一月三十一日より十勝山丸が定期船に指定され二十日間に一回程度横浜、神戸から出帆している。
 又昨年十二月七日往復旅行も近親者訪問等同情すべき理由があれば許可される旨第八軍から発表され、目下相当数の許可申請の手続が行われているが、許可を受けたものはいない。

二、貿易

 奄美大島との民間貿易は未だ許されておらず、貿易は総べて琉球軍政府の代行機関である琉球貿易庁を通じ、在東京の琉球軍政府、琉球調達局において決済されている。
 去る二月十一日琉球貿易庁総裁一行五名が約一カ月にわたり、日用雑貨、自転車等約八億円の買付けのため上京している。
 沖縄現地の新聞掲載の大島政庁発表によれば、一九四九年八月より一九五〇年三月までに大島から日本への輸出可能の物資は黒糖、鰹節、紬、百合根、枕木、牛、マンガン等である。

三、送金

 現在日本から奄美大島へ送金するには、大蔵省令第八十八号(昭和二十年十月十五日公布)により、大蔵大臣の許可を受けねばならない。現在までは北緯三十度以南に勤務する中央気象台職員の給与に関する実例があるのみである。
 奄美大島から日本への送金は不可能である。
 奄美大島の通貨はB軍票で、対弗交換率は五十円となつているが、日本円との交換率は未だ決定されていない。
 近い将来にこれが決定されると聞いているが、これが実現され且つ双方の送金が可能となることを希望している。