第7回国会(常会)
答弁書第一八号 内閣参質第七号 昭和二十五年二月三日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 佐藤 尚武 殿 参議院議員池田恒雄君提出庶業所得税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員池田恒雄君提出庶業所得税に関する質問に対する答弁書 一 「お知らせ」は納税者に対し其の便宜の為に、確定申告に当つての申告の大体の目安を示したものであつて、納税者が自己の正しい計算に基いた所得金額が「お知らせ」による課税見込所得金額と異るときは、その計算による所得金額によつて確定申告書を提出してさしつかえないものであつて、必ずしも「お知らせ」の課税見込所得金額による申告を必要とするものではない。 又「お知らせ」により通知された見込所得金額により、自己の納税額を計算することができ、それによつて必要とする納税資金を準備する期間を与えると同時に一面自己の計算による所得と比較対照する機会を与えるものと考えられる。 なお、質問の問題点は、左記のとおりである。 (一) 年間の所得金額をいうのである。 (二) 所得金額を調査した方法は、いろいろあるのであるが調査による内容は、各納税者によつて異り、「お知らせ」により所得金額を通知する場合、その調査内容を個々に記載することは不可能である。しかしながら、納税者が直接税務署へ出頭した場合は、その納税者の分について調査内容を説明することになつている。 (三)及び(四) 前の説明と同様である。 二 予定申告の当時における調査により予定申告の目安として示したものであつて経済界が変動していることにおいては、調査時期により、その所得に差異のあるのは当然であると考えられる。従つて確定申告直前の時期における調査による所得金額が、予定申告の当時により所得金額と相違する場合があることとなる。なお、この目安は、一の場合と同様にそれによる申告を強制するものではない。「お知らせ」は納税者個々の実情による所得金額を目安として通知するのであつて、割当ではない。 営業所得の調査方法、調査事例、所得標準率は業種目別又は地方により異にするのであつて、簡記することは不可能である。 |