質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質第三号
  昭和二十五年二月一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員三好始君提出国家公務員法附則第九条による試験に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員三好始君提出国家公務員法附則第九条による試験に関する質問に対する答弁書

一、一月十五日に行われた一般行政の試験については、人事院としては、色々の資料及び経験等に基いて客観的に正当と認められる唯一の解答を用意しております。
 人事院においては問題の解答の客観性を更に確実にするため試験の採点を行う外各問題の解答の分布状態を客観的に差別が現れている基準と照合してその問題の適否を判定します。
 その際解答の分布の状態によつては、充分検討の上更に正答を加えるとか或は問題そのものについて再考慮を行う等問題の解答の客観性の確保に遺憾なきを期しているのであります。

二、人事院において現在使用しております形式の試験問題はその作成がきわめて困難であります。
 従つて識別度の高い優良な問題はこれを保存して将来使用することもあります。又試験の結果によつて重要な位置の人々を次ぎ次ぎに配置換えするには数ケ月を要する次第でありまして、其の間に若し成績が漏れることがあつては行政運営上少からず支障が生じますので人事院としてはこの試験問題は公表しないこととしております。もつとも今回の試験につきましては一月十五日に参考のために四題だけ公表いたしましたのでこれについて正解を発表することは差支えないと考えていますがこれも問題分析の終了後にいたしたいと思つております。

三、一月十五日の試験は受験者の一般行政能力を見るために行われたものであります。
 官庁における監督者はその機関の目的を達成するのに職員を最も能率的に働かし、予算を最も経済的に使用し、設備を最も効果的に使用していくことが肝要であります。その見地から組織、人事行政、財務管理、事務管理等の分野が重要性を帯びてくるのでありまして此等の分野に於ける色々の問題をどう解決するかという事によつて、監督的地位にある職員の一般的行政能力を判定することができます。
 尚その様な能力は筆記試験だけで判定できるものではなく、このほかに学識、人物、職歴等も同様に判定の対象となります。従つて此の試験はそれら一連の試験の一部と考えていただきたいと思います。