質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質第一号
  昭和二十五年一月十三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員小林勝馬君提出日本船舶の外航配船に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小林勝馬君提出日本船舶の外航配船に関する質問に対する答弁書

一、日本船舶の外航配船については、輸出振興または国際収支の改善に至大の関係があり、政府においては今日まで機会ある毎に現在加えられつつある就航区域の制限撤廃について懇請してきたのであるが、未だ実現を見ないことは誠に遺憾と考えている。
 しかし最近商品貿易の面において逐次自主性が回復されつつあり、また外航適格船の建造も総司令部の好意ある承認により着工をみつつある情勢から推察し、近くこの緩和が行われるものと期待できるが今後も懸命の努力を払う考えである。

二、最近米国ランドリー・スチームシツプ・ラインから五〇隻五〇万屯の傭船について照会があつたのであるが、(1)日本船舶は現在就航区域の制限を受け、自由に外航に進出して輸出入物資の積取は許されていないこと。(2)日本船舶は内航に限られているため、最近の荷動の不活溌と相俟つて船舶運営会所属船のうち一四四隻約六三万D/Wの指示待船を余儀なくされていること。(3)目下第五次造船計画四六隻三〇万G/T及びA型改造二三隻も総司令部の好意ある援助により近く着工をみる現状にあること。(4)日本の造船事業は年間新造八〇万G/T、修理三二五万G/Tの能力を有するにかかわらず、現在の稼動率は三〇%内外である。仮にこの傭船が実現するときは現在以上の窮状に追込まれ且つ、最近における政府の合理化方策に副う工費の引下げも実現できないこと等の事情もあり目下慎重検討中である。

三、外航適格船の整備については、昭和二十四年度第五次造船計画における四六隻三〇万G/Tの建造及びA型二九隻の改善も近く着工を見るが、昭和二十五年度においても三〇万G/Tの第六次の造船計画を策定しこの実施を確保するかたわら不良船舶を整理するため、特別の金融上の措置を講じて優秀経済船の代船建造を促進する方針で目下検討中である。