質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参甲第一六六号
  昭和二十四年十二月十六日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員内村清次君提出恩給法の改正並びに恩給支払促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員内村清次君提出恩給法の改正並びに恩給支払促進に関する質問に対する答弁書

一、現在退職する公務員の恩給額は、所謂六千三百七円ベースの俸給額を基礎として計算しておるので、この種の者については目下の処恩給額を増額することは考えていない。しかし、昭和二十三年十一月三十日以前に退職した公務員の恩給額即ち所謂六千三百七円ベース以下の俸給額を基礎として計算された恩給額は、現在在職する者が退職した場合の恩給額に比し少額となつておるのであり、恩給金額としては不当に少額であると考えられるから、これを六千三百七円ベースの俸給で退職した公務員の受ける恩給支給水準にまで引上げるべく目下慎重に具体案を研究中で、成案を得次第法律案を国会に提出する考である。

二、三、恩給の支給については公務員の退職後一日も早く給与するよう措置することは裁定庁の当然の責務であつて、このために審査、裁定及び支払の手続については、従来常に簡素敏速化を図つてきた次第であるが、今後とも研究の上必要な簡素敏速化を図りたいと考えている。併しながら恩給は本人の請求によつて給与する建前になつており、この請求がなされた場合には経由庁でその経歴の調査を行うのであるが、各人の経歴には夫々の特殊性があるので、調査の完了する時期に遅速の生じるのは事務上止むを得ないことである。のみならず前述の如く恩給は本人の請求によつて給与するもので、時効期間(七年)内ならば何時でも請願できることともなつておるから、本人の請求の遅速によつても恩給給与の遅速が生じる。従つて裁定庁が公務員の退職後一定期間内に支給する義務を負い支給開始の時期を立法化することは現在の処困難であると考えられる。

四、恩給権は裁定を経て初めて確定するもので、裁定前はその権利が未確定な状態である。従つてかかる未確定のものについて概算払をすることは目下の処考えていない。しかし経歴の一部について疑点があり、このために裁定が遅延するような場合には争のない部分の事実について先づ裁定して恩給を給し、他日調査が完了した後にこれを訂正するような方法で、裁定の迅速化を図りたいと考えている。

五、行政整理に伴う退職者の恩給については、本人の請求あり次第一日も早く裁定して本人に支給し得るよう、裁定庁及び関係庁ともでき得る限りの努力を払い、恩給局としては、この事務のために、臨時に職員を雇入れあるいは時間外の勤務をなす等特別の措置を講じている処である。