第7回国会(常会)
質問第六三号 教育財政確立に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十五年四月二十九日 田中 利勝 参議院議長 佐藤 尚武 殿教育財政確立に関する質問主意書 一般平衡交付金制度の確立とともに教育財政を確立するためには、「標準義務教育費法案」の成立が絶対必要であると考えるが故に、左の諸点に関する質問書を提出する。 標準義務教育費が確立されない場合に生ずる左の如き欠陥をいかにして克服すべきか明示されたい。 一、教育費は全地方財政の二五%以上を占める多額にのぼるが、直接目に見える効果をあげえない性質の経費であるため予算削減の対象となり易く、さらにまた政治力の強い土木、保健衛生、警察等の経費によつて食い込まれる恐れが多分にあるが、これらの危険性をいかにして防止する措置があるか。 二、教員の必要数及び平均給与等に要する最底経費が保障されないならば、ひいては教育の低下を来すと思うが如何。 三、学校の経費の二分の一ないし三分の一がP・T・A等の寄附によつてまかなわれている実情にかんがみ、この傾向が今後さらに増大されるならば、父兄の負担はますます増加するものと思われるが如何。 四、教育費削減により学校の経費が依然として寄附に頼るとするならば、教育はP・T・A等の外部勢力に左右され、教育の自主性が侵害されると思うが如何。 五、一般行政から分離して教育の自主性を確立するために発足した教育委員会は、財政的に何等の国家的保障もうけず、また地方議会の支配を受けるならばその存在価値の大半を失うと思うが如何。 六、文部省は極東委員会指令第七十四号により教育の妥当な水準を維持すべき責任を有しているが、この責任をいかにして十分に果すことができるか。 七、なお、文部省の主張する標準単価三、二〇〇円はぎりぎりの最低線であり、もしこれを割るならば標準義務教育費法案自体の存在価値はなくなると思うが如何。 |