質問主意書

第7回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

医師、歯科医師、薬剤師の専門的職域区分の明確化等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年一月二十七日

淺岡 信夫      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   医師、歯科医師、薬剤師の専門的職域区分の明確化等に関する質問主意書

 連合軍総司令部の招請により昭和二十四年七月来日した米国薬剤師協会使節団が一ケ月に亘り我国医業薬業の実相を具さに視察調査し、作成した極めて詳細且つ厖大な報告書並びに勧告書は、マ元師の承認を経て、昨年九月十三日厚生省並びに日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師協会の三団体に手交された。
 この報告書を仔細に検討するに、単に我国の薬学、薬業の改善向上を計るだけではなく、実にこの改善を通じ、公衆の衛生福祉の増進を促し、公衆に「良き医療」を享受せしめようとする崇高な精神が一貫して流れていることを感得する。即ち、この報告書によつて勧告せられた事項を最も速かに実行することが、公衆に対し憲法第二十五条において宣言した文化的、健康的生活を現実に保障する所以であると信ずる。
 勧告書の最重要点は薬品に関する教育を受けず従つてその智識並びに技術を欠くところの医師が調剤し投薬する現状を非とするものであつて、高度に進歩した今日の医学と薬学は何人と雖も同一人でもつて習得できるものでなく、医師は診療に専念し、薬剤師は専門の智識と技術によつて良い薬を調剤して初めて医療の科学的完全が期せられることを強調している総司令部保健福祉部長サムス准将は多年に亘る、この医薬分業問題を、医、歯、薬三団体の幹部から成る三志会によつて解決すべく懇切なる指導と尽力を与へているが、去る一月九日三志会の席上においてサムス准将は『日本では医師は薬を売り、歯科医師は、歯科材料を売り、薬剤師は売薬を売る商人に過ぎない。各職能人は宜しくその技術をもつて真に公集衛生に貢献する本来の姿に速かに立帰り、国民の尊敬を得る様にしなければならぬ。』と指示している。
 ついては、この報告書に関し、次の諸点について政府の率直なる所見を伺いたい。

一、勧告によれば、医、歯、薬は分離することにより公衆に「良き医療」を享受せしめ得ると解されるが、政府の所見はどうであるか。

二、勧告によれば医薬の分離は、法律的手段をもつてその実行を促すべきであるといつているが、その法律的手段とは具体的に如何なる措置を指すのか、政府の所見を伺いたい。
又その措置はいつ講ずる方針であるか率直な回答を願いたい。