質問主意書

第6回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参甲第一三四号
  昭和二十四年十一月十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員梅津錦一君提出輸入コンニヤク粉(ジヤワ野生産)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員梅津錦一君提出の輸入コンニヤク粉(ジヤワ野生産)に関する質問に対する答弁書

 政府は炭坑労務者が坑内作業に伴う生理的理由によつて蒟蒻を需要すること熾烈なるものがあるにも拘らず、主食糧増産に伴う作付転換等による生産激減と配給及び価格の統制廃止とによつてその価格が急激に暴騰し、且つ供給円滑を欠いて一般に入手困難なる実情にあるので、これが低廉且つ円滑なる供給を確保するため、蘭領印度産蒟蒻原料を輸入することについて検討し、諸般の事情より適切なる方途と認め、これを推進するため昨年度より研究してきたのであるが、この輸入原料による製品は炭坑労務者に限り配給するものであり、横流れに対してはこれを防止する厳重なる方途を考慮しており、その輸入量も原料荒粉二百五十トンに限定し、この数量は本年度生産を予想される内地原料の僅か数%に過ぎず、これによつて需給の均衡を破り価格に急激なる変動を生ぜしめるような結果を招来することのできないものであるにかかわらず、生産農家主として主産県である群馬県の生産農家より、蒟蒻原料の輸入は内地原料の暴落を招き生産農家に多大の損害を与えるものであるとして激烈なる反対があつたので実情を調査したところ、この輸入問題が取引上に投機的に反映して価格の急激なる値下り傾向を来たしている事実を認めたので、政府としては生産農家がこの収穫期に当り、予想を遥かに下廻る価格をもつて出荷を余儀なくされる実情を遺憾とし、生産農家の損害を防止するためこの際蘭印産蒟蒻原料輸入要請はこれを中止して尠くとも本年度内この輸入申請許可の問題は取扱わないことに決定したのである。