質問主意書

第6回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参甲第一三〇号
  昭和二十四年十一月四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員三好始君提出新集荷制度の実施に伴う食糧事務所の事務の実情に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員三好始君提出の新集荷制度の実施に伴う食糧事務所の事務の実情に関する質問に対する答弁書

一、新集荷制度による支払証票発行業務の実施並びに従前の支払方法との比較

 各市町村の食糧検査官は、生産者から主要食糧の売渡の申込を受けたときは主要食糧検査令による検査をした後、これを買入れると共に遅滞なく主要食糧買入代金支払証票を発行してこれを生産者に交付するのでありますが、支払証票は原則として各生産者別、買入食糧の種類別に発行交付しなければならないので、毎日の発行枚数も相当多数になり又支払証票の発行金額については、生産者に交付される以前にこれが正否を検討して過誤を防止するための他の機関がないから、食糧検査官としてはその発行について特に慎重を期する必要があり、検査業務に加え支払証票の発行事務は、食糧検査官にとつて非常な事務の負担を与えているのであります。
 然るに定員法施行に伴つて約六、六〇〇人の人員減少となり、これがため検査並びに代金支払に支障を来す虞れがあつたので臨時職員で一部を補充し、今日までどうやら支障のないようにやつている実情であります。
 従前の支払方法では、主要食糧の集荷業務は総て農業団体のみに委ねられ、系統組織を利用した一元的集荷によつたので、政府からの買入代金も売買契約の相手方たる全国農業会に対して一括的支払が行われ政府から個々の生産者に対して代金支払をなすべき旨の何等の表示もなされなかつたのであり、生産者が供出代金を受領できるのは、その生産者が供出食糧の売渡を委託した市町村の農業会に限定され且つ支払はすべて一応予金振込の形式で行われたので、これが一部に「供出代金の支払が遅い」といわれる原因となつていたのであります。
 現行方法においては現地食糧検査官が主要食糧の買入と同時に支払証票を発行して各生産者宛に交付し、生産者は自分で選定した支払金融機関(市中銀行又は農業協同組合)に支払証票を提出して代金の支払を受けることができるのであります。

二、七月十日現在までに食糧事務所で判明した過払総額は三二九、〇一九、〇五九円にして、その件数三五、二三二件である。
 なお食糧事務所において過誤払処理中会計検査院の会計実地検査の結果指摘されたものは、広島食糧事務所の四百九十一万八千六百八十九円八銭(五月末)一百六十一件、新潟食糧事務所の一千九百三十九万二千九百五十九円三十四銭(七月末)三百六十件並びに滋賀食糧事務所の五百四十九万九千八百九十七円二十銭等である。
1 超過供出量を誤認したため、
 右は(イ) 町村における個人別供出事前割当決定の遅延
(ロ) 町村より検査官への連絡の不充分
(ハ) 匿名供出の趣旨を曲解し、供出未完了の農家が供出完了の農家の名義を使用したため
2 誤つて買入代金支払証票を二重発行したため
3 計算違い及び単価誤記のため
4 米価決定遅延による事務の輻輳のため
5 新集荷制度の実施に伴い必要な検査官の人員の充分でないこと及び事務に不慣れなため