質問主意書

第6回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二一号

科学の振興、学問の自由、私立学校法案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年十一月十六日

岩間 正男      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   科学の振興、学問の自由、私立学校法案に関する質問主意書

一、湯川博士がノーベル賞を授与された際、われわれは博士の業績を国際的な誇りとし、ますますその研究を伸ばすために努力しなければならないと考える。然るに現在京大湯川研究室では、国立学校設置法のために、研究員の半数が削られようとしており、又、研究費の不足のために満足な研究も行えない事情にある。これは単に湯川研究室のみに止まらず、むしろ全国の大学の各研究室に見られる一般的現象である。われわれはこの状態を深く憂慮している。政府は、予算措置によつて、この窮状を救う意志ありや否や。

二、大学教授をその思想或いは政党所属を理由として罷免することは、学問、思想、研究の自由をふみにじり且つ研究、教育、文化の進歩に重大なる脅威を与えるものである。このことは既に日本学術会議の声明、東京大学学長南原繁氏の声明等に明らかにされたところである。然るに、山梨大学、弘前大学、東京科学博物館等においては、単に思想、政党所属を理由として職員、教授、研究者の罷免が実施されている。かかる不当な処分に対して、政府は如何なる見解を持たれるか、又如何なる措置を講ぜられるや。

三、現在国会に上程を噂されている私立学校法案は、私学への僅かな国庫補助を理由として、大巾な官僚統制を私学に加える性格の法案であるといわれており、そのため、私学関係者に大きな不安を与えている。かかる法案はその影響の及ぶところ広く且つ深いものがあると考えられるが故に、政府はその起草を民主的な委員会に委託して広く世論を反映させるべきであると考えられるが、政府の見解如何。

 以上のことは、我国現在並びに将来の文化、教育の運命を決する重大な事柄である。政府当局の責任ある答弁を要求する。