第5回国会(特別会)
答弁書第九十三号 内閣参甲第一一一号 昭和二十四年五月二十四日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 松平 恒雄 殿 参議院議員梅津錦一君提出群馬県における教官の不当ひ免に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員梅津錦一君提出群馬県における教官の不当ひ免に関する質問に対する答弁書 一、群馬県沼田町立中学校教官四名が、昭和二十四年三月九日附をもつて願により本職を免ぜられた(諭旨)ことは事実である。 二、右は、沼田町教育の建直しについて一町民からの陳情及び沼田町町会議長より三月三日県教育委員会に対して陳情書(別紙)の提出が動機となつて同委員会の実地調査となり、左の経緯により諭旨退職となつたのである。 三、三月九日群馬県職員委員会は、県教育委員会の提示により、右四教官の懲戒に関し、審査の結果いずれも教育公務員として誠実、勤勉にその職務を尽すべき職務上の義務に違背し、職務を怠りたるものと認め、本人よりの退職願を提出せしめ諭旨免職せしめることを適当と認めることと議決した。 同日右職員委員会終了後、引き続き教育委員会を開き、諭旨免職の決定をしたものである。 なお、同中学校長も、部下職員の指導監督不十分のかどにより訓告処分に附せられた。 四、これに対し、三月下旬、県教職員組合は声明書を発表し、右退職教官の復職運動を開始した。 反対署名運動ではないが、復職歎願書に署名した者は相当数に達している。しかしこの中には重復署名もかなり見受けられる。 反面、この署名に反対の意向をもつ教員があることも事実である。 (別紙) 陳 情 書 新生民主日本の建設は将来これを双肩に担うべき児童生徒の教育に保つべきことは重大なる関心事であります。 しかるところ富町小学校及び中学校の人的要素たる教員の組織においては終戦以来兎角の欠陥があり曩に挙町一致してこれが改革を呼び県当局亦その実情を調査せられこれに配するに小学校に小林徳衞氏中学校長に中村文彌氏をもつてし教育の建直しを図られた事は、感謝に堪えない所であります。 爾来校長町民協力して教育の充実振興に努力するもその実容易に揚らず教職員中には組合意織のみ徒らに強く校長の指示に服せず職責を尽さざる実状にあることは誠に遺憾のことであつて今にして人事の刷新を図り真摯なる態度を以て教壇に立つ人材を得て大改革を図らざる限り本町教育の前途は誠に憂慮に堪えないものであります。沼田町議会は如上の実情に照して最も適任にして一大刷新の任を課せられて配置せられたい校長を信頼し教育の建直しの日も近きことを期待しているが今や学年末に際し重大なる決意をもつて人事の刷新を企図しつつある校長の措置を最も適切と信じこれを絶対支持することを町会議員全員協議会において決議したるについては校長の企図が本町教育に実現し得る様措置せられんことを町議会の総意を代表して陳情致します。 昭和二十四年 月 日 利根郡沼田町町会議員代表町会議長 近 藤 武 治 群馬県教育長 小 島 軍 造 殿 |