質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第八十号

内閣参甲第八四号
  昭和二十四年五月二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員川上嘉君提出税制機構問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川上嘉君提出税制機構問題に関する質問に対する答弁書

 一、及び二、については税制機構の改革は、目下検討中であり政府の試案として、具体化せられたものはない。

 三、については円滑にして、適正なる徴税の確保のためには、税務の簡素能率化が不可欠であることを認め、昨年来税務に関する事務の分析、法規通牒類等の事務規程の整備、人員の適正配置等秩序ある規則的な事務の取扱いをなすよう鋭意調査検討を進め、逐次実行に移しつつある。就中税務の簡素能率化のために、課税標準の調査、検査、滞納処分の如き外部事務と帳簿の整理の如き内部事務の分業の確立を図りたい。右のうち外部事務については相当の教養ある熟練者、経験者を専担的に配置することとしこれらによつて実額調査、滞納整理を科学的、合理的に行わしめることが適当であるので差当つて財務局にこれらの専担者を相当数配置し大所得者等に対して重点的に調査を進めたいと考える。内部事務については、文書帳簿類の規格様式、その整理及び保存方法等につき簡素能率化するよう具体的に研究中である。なお内外事務何れの場合にあつても能率の向上のためには事務を担当する職員の素質の向上が先決問題であるので職員の採用養成につき格別の措置を講じたい。

 四、については、徴税事務は、国の歳入の根幹を賄うものであり特に現在においては、インフレーシヨンを収束し、経済の再建を図るために、最も必要なことである。従つて、その運営は極めて強力に行わるべきものであるが他方、徴税事務は国民の重大な財産権に関するものであるためにその運営は特に適正且つ円滑なることを要する。なお徴税事務の遂行には相当高度の知識と技術を要するのでその運営を担当すべき職員については採用、待遇、養成等人的管理の適正を図りたい。