質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第六十四号

内閣参甲第七一号
  昭和二十四年四月二十六日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員姫井伊介君提出各種協同組合に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員姫井伊介君提出各種協同組合に関する質問に対する答弁書

一、中小産業が国民の大多数を占める現在、これを構成員とする協同組合は、国家の社会、経済上有益にして必要な組織であつて、これら組織の自主的な発展を期待し、且つその育成を助長してゆきたい、その観点から、既に農業、水産業及び生活協同組合に関する法律を制定したが、中小企業等協同組合法は、今国会に提案し、審議を仰ぐことになつている。

二、各組合の実情に即応する如く検討する所存である。なお中小企業等協同組合法案においては金融事業の健全性を確保する観点から信用事業とその他の経済事業との兼営を認めないこととしている。前記四組合の課税の減免については、大体同様としているが、中小企業協同組合のうち、企業組合については、自から営利事業を行うものであるから他の協同組合と同様の課税の減免を行うことは適当でない。

三、金融機関の新設についてはその業務の公共性に鑑みその健全な運営の能否等を充分検討の上慎重考慮することと致したい。

四、中小企業等協同組合法においては、連合会が損害保険事業を行うことが認められておるが、その免許については近く今国会に提出予定の「保険組合に関する法律」に基き具体的に検討の上、免許するか否かを決定したい。
 生命保険事業は特に数理の専門家を必要とする技術的事業であるので各種協同組合が、これを行うことは現段階においては賛成し難い。

五、統制物資を除くその他の物資については、生産主体の協同組合と消費主体の協同組合の有機的連絡結合を密にすることは結構である、消費生活協同組合法では他の協同組合との間で一定の条件の下に加入しうるよう規定している次第であるが特にこの点については組合の自主的活動にまちたい。

六、農業協同組合は食糧その他農林産物資の供出出荷、集荷、供出管理を現在行つている。水産業協同組合は目下設立手続進行中であるが、大体同様の事業を行うことになる。
 生活及び生産に必要な物資の配給については統制の程度及び方式によつて異なるが、これに応じてできるだけ協同組合にも行わせたい。なお、独占禁止法の立前から協同組合のみに特定の条件で行わせることはできない。

七、課税の関係は政府と納税者の関係であり、且つ、所得税はあらゆる所得を総合して課税することとなつているので、全部の所有を知悉していない第三者が、この間に介入して共同申告をすることは適当でない。