質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第五十六号

内閣参甲第六五号
  昭和二十四年四月二十二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出デイスインフレと労働政策に対する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出デイスインフレと労働政策に対する質問に対する答弁書

 今後デイスインフレに即応するためには、労働の生産性を高めることが、喫緊の必要事であることはいうまでもない。これがためには、勤労者が勤労意欲を高め、その全能力を挙げてその本来の労働に集約し、内職その他にこれを散失せしめざることが必要である。
 もとより、生産の向上を伴わざる賃金の上昇は、企業三原則の建前からも到底許さるべきではない。且つ又九原則の実施により、日本経済の真の安定を期するために、勤労者も亦敢えて自らの生活耐乏を克服して、生産増大に協力することが要望せられていることはいうまでもない。
 最近勤労者の賃金は、若干上昇の傾向にあるが、物価及び生計費の実情よりして、生活安定の見地からはいまだこれを充分なりとは断じがたいので、今日の段階においては、直ちに賃金収入を引下げるが如き措置をとるよりは、労働の生産性の向上が賃金収入の増加となり、自然勤労者はその本来の仕事に安んじて従事しうるが如くすることが、むしろ合理的である。