質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第四十八号

内閣参甲第五二号
  昭和二十四年四月十二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員カニエ邦彦君提出六・三制予算に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員カニエ邦彦君提出六・三制予算に関する質問に対する答弁書

一、学制改革の根幹は、六・三制の完全実施にある事は御説の通りであり、従つて政府としては当初よりこれが予算確保のため、今日迄あらゆる努力を傾注して来たが、諸種の事情より今尚極めて憂慮すべき状態にある。しかし今後とも一段の努力を致す所存である。

二、学校建築に対する補助を中断する意思はなく、又地方財政の窮乏も十分察せられるので、国家財政の許す範囲内において、これが予算を獲保すべく今後も鋭意努力する考へである。

三、六・三制予算の不足による町村財政の混乱は思想界にも大きな波紋を起す虞のある事は御説の通り予想せられることなので、かような結果に陥らぬよう、予算獲得に今後も十分に努力する。

四、校舎不足は教育効果を低下せしめ、従つて多数の生徒をして、不良化の道を辿らしむるに至る虞のあることは、御説の通りであるので、予算の成否にかかわらず、政府としては、将来共一段の工夫をこらし、教育効果の向上を図り、不良化の防止に努むる所存である。

五、「文化国家の建設は教育から」とは政府の常に固く信ずる所であり、従つて六・三制建築費国庫補助の必要性は痛感しているので、政府としてはこれを本年度で打ち切る意思のないことは前述の如くである。