質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第三十八号

内閣参甲第四一号
  昭和二十四年四月五日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員矢野酉雄君提出上田繊維専門学校単科大学昇格に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員矢野酉雄君提出上田繊維専門学校単科大学昇格に関する質問に対する答弁書

 昭和二十四年度から新制大学を発足させるについては六・三制の完全実施の必要経費の計上も困難なる情勢から見て新制大学実施に要する予算措置は若し各学校の希望する通りに単科大学で計画するとすれば国費の支出過大となり実施不可能であると考えたので、一府県一国立大学設置の原則を樹て、特に人口稠密、地域の広大、高等専門学校数の多さ等による数地方の例外を除いてこの方針によることとした。

一、理想的繊維総合大学設置の趣旨は結構であるがこれがためには現在の繊維専門学校の教員組織、施設等相当拡充せねばならず年々支出の経常費も非常にかさむことであり今日国立学校の全般的転換の際に於いては、他との均衡上甚だ困難である。
 専門学校が新制大学となる場合には全面的に教員組織、施設等の拡充を必要とするが特に一般教養学科の部面に於ては少なからず充実を要しこの点から見ても単科大学とするには極めて困難な事情もあるので上田繊維専門学校についても他の東京繊維専門学校及び京都繊維専門学校の場合と同様に他の学校と合併し総合信州大学の一学部として主として専門部面(繊維学部)を担当することがこの際より適切な措置と考える。

一、水産大学や商船大学が単科大学として設置されようとしているがこれは他省所管と言う特殊事情もあり目下文部省としても関係方面に折衝し一定期間を限り他省の所轄とする話合い中でもありこれをもつて単科大学の設置を一般化する理由にはならない。

一、大学設置委員会としては文部大臣の諮問に対して大学設置の可否を審議しそれを答申するのを任務とするもので国立大学の場合は文部省に於いて当該学校その他関係方面と協議し大学設置の具体案を作成してしかる後大学設置委員会に諮問することになつている。