質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第十九号

内閣参甲第二一号
  昭和二十四年三月十七日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員橋本萬右衞門君提出農家必需物資配給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員橋本萬右衞門君提出農家必需物資配給に関する質問に対する答弁書

一、現在の肥料配給量について

 現在の国内肥料の生産能力は年間窒素質肥料約一六〇万トン、燐酸質肥料一三四万トン、加里質肥料については殆んど云うべきものがない状態であるが、昭和二十三年(暦年)の生産実績は、生産資材の不足等のため、窒素質肥料一一二万トン、燐酸質肥料九九万トンに過ぎない。
 現在程度の配給量を確保するためには、連合軍の好意による(ガリオア資金による)窒素質肥料(硝安)三三万トン、及び加里質肥料一五万トン以上の輸入に依存している状況である。
 尚燐酸質肥料の原料である燐鉱石についても、全量外国から輸入しなければならないのである。
 政府としては肥料の配給量を現在以上に増量するために、極力国内肥料生産の向上を図ると共に、更に肥料の輸入を増加すべく努力中である。

二、肥料の適期配給について

 御承知のごとく肥料の生産、すなわち供給は恒常的であるが、これを消費する農業においては、需要の季節性が顕著であり、これが調整を如何にするかという点では幾多の困難があるが、本年度の春肥については、本年初頭農林次官訓令をもつて関係行政庁に対して末端の肥料割当を二月二十日迄に完了する様指示するに共に、肥料配給公団に対しては逐次入荷する肥料を遅滞なく指定肥料取扱業者に配給するよう厳重に指示している。
 二月二十日現在では春肥総割当量に対して、窒素質肥料約三〇%、燐酸質肥料も約二〇%が夫々農家に配給されている状況である。
 肥料購入資金の逼迫している向に対しては、去る二月十二日より農業手形制度が実施されているので、本年の春肥は、施肥期迄に総割当量のうち、基肥として必要な量を農家に配給し得るものと思つている。