質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第十七号

内閣参甲第二〇号
  昭和二十四年三月十七日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員池田恒雄君提出農業所得税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員池田恒雄君提出農業所得税に関する質問に対する答弁書

一(1)田畑所得標準率の作成については、市区町村、各種農民団体、民間の農事精通者から適切な資料の提供を受ける方針のもとに、下館税務署においては、町村長、町村役場の税務主任及び農業協同組合長等にその内容を説明し、これに対する意見を聴いて決定をした。又、龍ケ崎税務署においては、町村役場の税務主任に対してその内容を説明し、土浦税務署においては、市町村長、市町村役場の税務主任及び農業協同組合長等にその内容を説明している。
(2)田畑所得標準率は、税務署で調査した所得の基準であつて、その適正妥当を期するため、市区町村、各種農民団体、農事精通者の全部又は一部から適切な資料の提供を受け、特に真面目な関係団体の適切な意見は十分これを参考とするように努めているわけである。しかし、これがため民間の意見に拘束せられて妥協をするということは、性質上許されないところである。
(3)「農業所得に対する所得税の実務要領」は、税務署の事務運営の方針を、大蔵省から指示したものであつて、これを市町村等に送付して税務署の方針を開示し、公正妥当な課税の実現を期したものである。
 税務官吏は、一面において納税者の相談相手となり、他面において正当に納税が行われたか、行われないかの審判者のような立場において、納税が公正に実現されることを念願としている。
 なお、前回留保した分に対し、次のとおり答弁する

二(1)粕壁税務署においては、農業共済金を収入金額に算入して田畑所得標準率を作成したが、農業共済金は、農家の支出した必要経費の補填に充てられているので、実質においては、所得としては課税されておらないものである。
(2)龍ケ崎税務署においては、災害地については、その状況に応じて、一般の所得に比し、低い所得により課税したのであるが、万一調査不備等のものがあれば、実情を調査して是正の途を講ずるつもりである。

三(1)境税務署における昭和二十三年分田所得の標準率は、収穫予想高の二割減程度の収穫量によつて作成しているので、収穫が予想高の三割減以下と認められる農家について、減収の的確な証明がつかないため、所得標準率により所得を計算する場合は、この一般標準率によることとしたのである。
 減収高の被害証明は、農業保険の資料によるのがもつとも的確であると考えられるので、所得標準率により所得を計算する場合は、農業保険における被害証明の区分(三割乃至五割、五割乃至七割並びに七割以上)により、所得が減少するか又は所得がなくなるかを定めたのである。
(2)境税務署においては、田所得の一般標準率を、収穫予想高に対し、二割減程度の収穫高によつて作成しているので、収穫が予想高に比し五割減少していても、一般標準率における収穫に比すれば、その減少割合は少なくなることにその原因の一がある等、具体的の負担を定めるものとしては、実情に即応するよう考えられたものである。

四 質問事項の三及び四については、前回の答弁の外、再質問事項に対する答弁によつて了承せられたい。