質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第十五号

内閣参甲第一八号
  昭和二十四年三月四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出対外政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出対外政策に関する質問に対する答弁書

 経済的に弱体化したわが国は終戦以来、連合軍当局の援助により補給を受けている。貿易は年々輸入超過で昭和二十三年末までの入超累計は約十億ドルに達しているが、右は米国政府予算による救済費等によつて賄われている次第である。すなわち、主食並びに肥料、原材料等が米国民納税者の負担においてわが国に供給されている。この援助は御質問の趣旨の通りなお一層の増加が望ましく、同胞の幸福促進のためのみならず、わが国の復興に不可欠の要請であり、政府は援助の増加、有効化について連合国最高司令官に対し懇請している。しかしながら、わが国に対する援助を増加することは直ちに米国民納税者の負担を加重することになるので援助の効果をより確実にすることが何よりも肝要である。先般最高司令官より示された日本経済復興九原則はわが国の経済的安定、復興と自立とを直接の目的としているが、同時にこれは日本が連合国の援助を受けるための端的な条件であると考えなければならない。そして成るべく速やかに援助を受けずに自立しうるに至るようになることを考えねばならない。従つて当面援助の継続ないしは増加を要請するためには、右の九原則に謳われた目標を達成するように夫々所管の省庁においてその具体的実行を極力促進している次第である。
 なお、移民問題の重要性については政府においても同感であるが極東委員会においては、わが国民の海外渡航に関し貿易業者等については相当程度許可する方針が決定されたが、移民については何等の決定に至つていない。この問題に関しては先決問題として日本移民受入国との間の国交を一日も早く正常状態に近づけ、対日感情を友好的に改善して行くことが肝要である。そのためにもまず国際連合の各種専門機関、会議等に何等かの形でわが国の参加を許容してもらうことが最も望ましいとおもわれる。