質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第十四号

内閣参甲第一七号
  昭和二十四年三月四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員池田恒雄君提出農業所得税計算要領に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員池田恒雄君提出農業所得税計算要領に関する質問に対する答弁書

一 所得標準率は、市町村又は大字等の地域内において、通常の農家(収穫、必要経費及び供出等の状況が通常の状態にある農家)又は農業経営の状況の類似した農家について調査した所得の基準である。

二 緑肥については、収入金額として計算するときは同額を必要経費とすることになるので、計算省略の意味で収入金額として計算しないのである。もみがら、麦わら等については、その交換価値が、皆無であるか、又は極めて僅少であるので、収入金額として計算しない取扱をしている。

三 実情に応じて税務署が認定する。

四 (1) 耕作反別税は、地方税法第百三条に定められている地方税である。水利地益税は、地方税法第百二十条に定められている地方税である。
(2) 必要経費に算入される。

五 農具の耐用年限は、当該物品について具体的に定める。鎌類、熊手等は、通常耐用年限二年以下の小農具であり、脱穀機、モータ等は、通常耐用年限二年を超える大農具である。

六 現行の租税は、各税法を通じ取得価格を基礎として減価償却額を計算し、これによる所得に応ずる負担を定めているのであるから、この態勢が変更されない限り、時価によつて減価償却額を計算することは妥当でない。立法論としては、目下研究中である。

七 相当規模の明きよ排水事業等は、通常土地改良事業であり、耕地の破損、欠壊等を補修する工事は、通常土地の価値を維持する程度の事業であるが、いずれも個々の事業について、具体的な事情に応じてこれを判定する。

八 農業経営上の雑費も、これを必要経費に計算している。

1 農家収入となる主なる農業生産物の公定生産者価格は別紙一のとおりであるがその価格決定方式は次のとおりでする。
(1) 主食についてはパリテイ計算による。即ち農家の購入物資の価格と均衡を得た米価を求めんとする考え方であつて昭和九年―十一年を基準年次としている農業パリテイ指数は二十三年産麦、馬鈴薯の生産者価格決定の際は一一〇、二十三年産米及甘藷の価格決定の際は一三二、二九である。
(2) 繭の価格は右のパリテイ計算によつて得た米価に米価と繭価との比率(大正十年―昭和五年)を乗じて二十三年産春繭の価格を、上繭の生産者の販売掛目を標準掛目五、六〇〇掛(取引糸量一四%の繭では一貫目当り七八四円)と決定した。
(3) 野菜、薪炭その他の農産物についても概ね(1)の農業パリテイ指数を採用して公定価格を決定している。

2 農業用生産資材中主なるもの(家畜、農具、肥料)の公定価格は別紙(二)のとおりであるが家屋及び家畜には公定価格はない。
 肥料の闇価格は、公定価格に対し、硫安約十倍、石灰窒素約五倍、過燐酸石灰約六倍の状況である。農機具は除草機は概ね公定価格と闇価格が一致し、すき、くわ、かま等は闇価格がやや下廻つている。

別紙(一)

別紙(二)

十(1) 配給している物資の中生産資材の三種についてみれば次の如くである。
(イ) 肥料(昭和二十三肥料年度自昭和二十三年八月至昭和二十四年七月)の、配給数量及び価格
窒素肥料(硫 安 換 算)約一四〇万トン一トン当り    一二、七九四円
燐酸肥料(過燐酸換算)約一〇一万トン〃         五、四五二円
加里肥料約一六トン〃        一二、六五〇円
(ロ) 農機具及び農薬(昭和二十三年一月―十二月)
農 機 具約百三十億円(農林省指定工場の製品ですき以下二十三種)
農  薬約二十六億円(農林省指定工場の製品で主として殺虫剤)
 右以外は、すべて統制外であつて、配給していない。尚数量は単位がまちまちなので、表示できないから了承されたい。

(2) 自由購入物資
 種々の調査をしているが、把握が困難であつて、回答し難い。