質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第十二号

内閣参甲第一五号
  昭和二十四年二月二十三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員池田恒雄君提出食糧確保臨時措置法の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員池田恒雄君提出食糧確保臨時措置法の運用に関する質問に対する答弁書

一、昭和二十四年度の農業計画は次の通りである。
 生産数量は米(雑穀を含む以下同じ)六七、七三二、二千石、麦(蚕、豌豆を含む以下同じ)一五、九三八、一米換算千石、甘しよ一、四九七、三一五千貫、馬鈴しよ六七八、六六〇千貫、農家保有数量は米三五、四〇三、五千石、麦八、四六九、三米換算千石、甘しよ七五四、〇四七千貫、馬鈴しよ三五四、四三九千貫、出供数量は米三二、三二八、七千石、麦七、四六八、八米換算千石、甘しよ七四三、二六八千貫、馬鈴しよ三二四、二二一千貫である。
 生産確保のための資材は肥料について秋肥は窒素質肥料四二〇千トン、燐酸質肥料四〇四千トン、加里質肥料一九千トン、春肥は窒素質肥料九七八千トン、燐酸質肥料六〇一千トン、加里質肥料一三七千トン、が作物別に割当済である。農機具については、作物別に区別することは困難であるから昭和二十四年度の農機具の供給計画を示した。(別表一)農薬については米穀、麦、甘しよ、馬鈴しよ及び雑穀の生産に必要な農薬の需給見込を示した。(別表二)
 次に都道府県別の農業計画を例示すると

表 1/2
表 2/2

 農機具については作物別割当が困難であるため、都道府県に対し全体の計画を指示するが都道府県別の二十四年度供給計画は目下作成中である。
 市町村の二十四年度農業計画は目下割当中である。

二、昭和二十四年度農業計画について市町村長は食糧確保臨時措置法第五条に定める農業計画の公表を左の期限内に行うことに定めているから、市町村の農業調整委員会はこの期限前に議決しなければならない。
(イ)麦
北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、鳥取、島根 昭和二十三年九月三十日
右以外の都府県 昭和二十三年十月十日
(ロ)米、甘しよ、馬鈴しよ
 全   国        昭和二十四年二月末日

三、(1)事前割当制度は昨年産の主要食糧農産物の供出割当から実施されたが、昨年は始てのことであり、この制度に不馴れな点もあつたので政府の施策が末端迄充分滲透せず、国の指示した期限内に事前割当を行わなかつた市町村もあるが、政府は期限後でも必ず事前割当を行うように指導している。従つて特別価格等についても既定方針通り取扱つている。
(2)そのような市町村があれば啓蒙指導を行い速に事前割当を完了せしめる方針である。

四、昭和二十三年産主要食糧農産物の供出割当は食糧管理法にのみ基き割当られているので法律的に超過供出を要請し得るが、食糧確保臨時措置法の趣旨に基いているから超過供出の推進については、超過供出分を特別価格で買入れ、報奨物資の配給基準についても、一般供出分の二倍半の点数とする等特別の措置を講じているが、各農家に対しては飽迄自主的供出により超過供出することを期待している。
 二十三年産主要食糧農産物の市町村別収量は農林省統計調査局の調査による作付面積、坪刈調査等を資料として把握し得るのであり、本年は更に精密に統計調査局において市町村別の収量を調査する方針である。事前割当の場合でも実収高調査を実施しなければならぬ事は御説の通りである。

五、政府は食糧確保臨時措置法により農業計画を定め、農業調整委員会を運用しているが、農業調整委員並に一般農家のこの制度に対する理解の徹底については今後一層努力する方針である。

六、(1)主要食糧農産物が闇に流れるのは農家が事前割当量以上の増収分を横流しするか、あるいは農家経済の要請上保有米を節約して横流しするかであるが、政府は増収分は闇価格に匹敵する特別価格で買入れ経済的に農家が超過供出を成し得る体制をつくるとともに横流れの取締を強化しているから、昨年産米は従来に比し横流れ数量は著るしく減じていると思料される。
 従来個々の農家に対する供出割当は必しも均衡の取れたものでなくデコボコがあつたが、政府はこの弊を是正するため民主的に選出された農業調整委員を割当にあずからしめ更に地方調査等を実施して割当の公平化を期している。
(2)自家の収穫量のみで年間保有量を賄えない一部保有農家に対し供出割当を行うことは適当でないから、完全保有農家と一部保有農家の区別を設けている。その反面一部保有農家は農業の経営規模も小さく一面消費者であるから、国の食糧需給上保有基準量については完全保有農家と差違をつけ三合一きん五としているのである。

七、各農家に対し均衡の取れた公平なる割当を実施することについては政府も常にこれに留意している。一部に各農家に対する割当が公平に行われていない市町村があるのは、そのやうな市町村においては割当の基礎となる資料が完全に整備されていない所に原因があるのであるから、政府としても今後は一層科学的基礎資料の整備に努め、末端割当をこれにより実施して、割当に関し社会的勢力関係による決定を極力排除する方針である。

別表(一) 昭和二十四年度農機具供給計画 1/3
別表(一) 昭和二十四年度農機具供給計画 2/3
別表(一) 昭和二十四年度農機具供給計画 3/3

別表(二) 昭和二十四年度米穀、甘藷、馬鈴薯及雑穀の生産に要する農薬の需給見込 1/2
別表(二) 昭和二十四年度米穀、甘藷、馬鈴薯及雑穀の生産に要する農薬の需給見込 2/2