第5回国会(特別会)
質問第九十四号 地代等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十四年五月二十三日 来馬 琢道 参議院議長 松平 恒雄 殿地代等に関する質問主意書 地代等の件につき左の四項を質問する 第一、地代家賃統制令には「貸主は如何なる名義であつても借地権利金又は借家権利金を受領することはできない」と規定してあるが罹災都市借地借家臨時処理法には「相当の対価」という文字を以て借地人が罹災建物が滅失した当時におけるその建物の借主に借地権の譲渡の代償を受領することができるように規定してある、この相当の対価というのは前に挙げた権利金と同じ性質のものと思うが政府の解釈如何 第二、前項の権利者(罹災当時の建物の借主)がその取得したる借地を他の者に譲渡する時には相当の対価を受取ることになる、然るに最近の情勢では都市の罹災者が疎開先の農村より都市に帰還を望む結果その対価が非常に多額に上るのが実際である、即ちその土地の賃貸価格がそれだけ騰貴したのである、この場合貸主は何等利益の分配を受ける事ができない、時に若干の利益を提供せんとする借主があつても貸主は同法第十八条の体刑及び罰金刑を恐れて之を受領することができない、これは社会通念からいつて所謂中間の利益の搾取者を保護するに急にして、権原により利益を享くべき所有者に何等の恩恵を与えない片手落ちの処置である、政府は斯る現状が国民をして善良なる政治を謳歌せしむる道なりと思うのであるか 第三、土地又は建物を貸主より統制額で借受けたる後多額の対価を受領して第三者に使用せしめ統制額に(時としては)数十倍する借賃を収納している者があつたとしてその第三者は地代家賃統制令により貸主としての制裁を受くるものと解してよろしいか 第四、政府は昭和二十三年十月十日から地主は土地賃貸価格の二・四倍の地代を従来の手取額に加えて受領することができる事としたが東京都においてはこの政令が出てから間も無く昭和二十四年度の地租として賃貸価格の二・四倍の金額を賦課した、政府はこの措置を社会風教上正当なものも認めるか 右に対し明確なる答弁を求める。 |