質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第八十一号

農業政策等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年四月二十八日

松井 道夫      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農業政策等に関する質問主意書

一、現下農業政策の最大重点の一つは耕作農家の生産諸条件を改善し農業経営の健全化を計るにあると思うが政府の所見如何。

二、右の見地から堆肥の増産を奨励すべきではないか。
 堆肥の反当りの理想的な施肥量如何。
 昨年度における堆肥の施肥量は十分であつたか。
 堆肥の生産目標を樹て増産を指導する必要はないか。
 化学肥の反当り理想的施肥量如何。
 昨年度における化学肥の配給実績並本年度の配給計画如何、反当りいか程になつているか。
 食糧増産の目的達成のためには、化学肥の外堆肥の施肥が緊要なのではないか。

三、既存農家の生産条件の改善と開拓政策との調整策如何。
 既存農家の農業経営のため必要な採草地、自家用薪炭林甚しきは一部落の灌漑用水の水源林を未墾地として買収した例がある。かくの如きは、明白に不当であると思うが如何。

四、他に主たる使用目的のない採草地は、適正面積である限り牧野として、自作農創設特別措置法による買収から保護されるのではないか。
 適正規模の自家用薪炭林を未墾地としての買収から保護するため何等かの法的措置が必要なのではないか。
 他に主たる使用目的のある採草地であつても採草に従事する農家の農業経営に必要である限り、何等かの法的措置を以て未墾地としての買収から保護する必要があるのではないか。

五、採草地に植林することの可否如何。
 採草地に植林することは、草質を軟かならしめ硬質の柴木の生育を防ぎ採草上好影響があるのみならず、薪炭給源を豊富ならしめるから奨励すべきことと思うが如何。
 植林が生育するに従い間伐、枝下しをなし、採草に何等支障なく経営出来るのではないか。

六、政府は、植林を奨励している。しかるに政府の奨励に従い採草地に植林したところ樹冠の面積が三割以上だから牧野でないとの理由の下に未墾地として買収された例がある。
 裸山にして置けば牧野として保護されるものを植林したために未墾地として買収され採草の目的も植林の目的も達成出来ず、元も子も無くなつて了うとは何としてもおかしいと思うが如何。
 右の場合専業農家であり其の農業経営に必要不可欠の採草地である限り植林に拘らず主たる目的が採草にあるものと見て牧野として未墾地買収から除外するのが適当なのではないか。

七、前項に所謂樹冠の面積三割以上とは如何なる法律上又は農林政策上の根拠があるか。

八、牧野に付草の最底生産量を定めているか(反当り生草にして何貫位)、それは絶対のものか或は主たる目的が採草にあるか否かを決定するための一資料に過ぎぬものか。

九、牧野台帳登載の趣旨が不徹底であつたため農家に確保し得る採草地の面積が過少に定められた地方が少くない、政府は速かにこれを是正する必要があると思うが如何。

十、政府は以上の諸事項に関し現地諸機関に対し如何なる指導を与えているか。