質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第七十六号

現下の金融梗塞についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年四月十九日

帆足 計      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   現下の金融梗塞についての質問主意書

 昭和二十三年度採炭三千五百余万トン実績達成のために、政府の国策に協力しきたりたる炭鉱関連産業の資材、機械等の代金支払が、政府の資金計画の半減以下の削減のため、昨秋以来全く停滞し、今や鉄鋼、電線、鋼索、杭木、電池、火薬、諸機械等炭鉱向資材売掛金は累積して総計百億を超える巨額に達すると報ぜられ、また石炭増産のために最大の協力を示した、炭鉱向機械工業においても売掛金累計二十五億の停滞をみるに至り、関連産業はまさに恐慌の度を越え破産の前夜におかれている。
 かかる売掛金の未払に対し、適切なる政府の措置を企業並に従業員が求めることは、いわゆる「赤字補填」又は「救済」のための融資を求めるとは全く異なり、法律の認めたる、当然の代金回収の権利を主張するものであると思う。
 今や政府の施策の怠慢のため、九州に、大阪に、東京に、北海道に大、中、小、多数の企業は恐慌状況にあり、原料代の未払い、電力料金、税金の滞納、さらには賃金の不払等を余儀なくされ、多数の中小工業は破産の境に追込まれ、十数万の従業員大衆は生活の苦境に喘ぎつつある。
 しかも、一定期日まで支払いが延びるから、それまで待てというのであるなら、対策のたてようもあるが、皆目今後の見当はつかず、しかも、生産をつづけねばならぬ以上は、毎月さらに十数億円の未収金が累積する現状である。
 右に対し、われわれは、国民を代表し、政府の迅速なる対策を要望するため、左記の各項目別に、政府の責任ある答弁を要求する。

(1) 政府は、炭鉱向資材未払の現状を正確に把握し、合理的な対策を準備しつつありや。
(2) 石炭増産という最高国策に、より多く、より誠実に協力したる企業(政府の表彰工場のごとき)程窮地に追込まれている不合理な現実を政府はなんと考えらるるや。
(3) 政府は右未払金融対策に関し、当面いかに具体的に措置せらるる考えなりや。
(4) これ以上炭鉱向資材並機械の納入を継続することは企業の破産をきたすこととなるが故に、かくてはもはや生産ならびに納入打切りを余儀なくされることとなるが、政府としては石炭減産の結果を招来するとしても生産並納入の打切りを容認せらるるや、それとも今後政府において十分の責任ある対策をとり、業界に生産並納品の継続を希望せらるるや。
(5) かくて金融対策が遷延し炭鉱向資材、機械の生産及納入が停滞または中絶の余儀なきに至れば、今年度四千二百万トン生産の達成は絶対に不可能となるが、これに対し政府の見解如何。