質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第二十五号

土浦飛行場等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年三月十五日

池田 恒雄      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   土浦飛行場等に関する質問主意書

 二月二十三日内閣参甲第一四号の右質問に対する答弁に対して、再度質問を提出する。

第一、霞ケ浦海軍航空隊

1 財団法人霞ケ浦農科大学
 右大学使用中の土地四五、一五一坪の地目別面積と利用状況、その価格、賃料、並に建物一〇、〇〇〇坪の棟数、種類、価格賃料、利用状況、貸付けた土地、建物の目録
2 新日本食品工業株式会社
 その使用中の土地二四、二四〇坪の地目別面積と利用状況、払下げ価格、並に四、〇二二坪の建物の種類、棟数、払下げ価格
3 農林省
 緊急開拓として所管換手続中の面積、その事業概要
4 茨城県農業会
 その使用中の土地二七、六九〇坪の地目別面積と利用状況、価格、賃料、並に農業会解散後どのように処分する方針か。
5 舟島村外二ケ村
 新治共同病院の使用する土地、建物の価格、並に賃料
6 鹿島参宮鉄道株式会社外四件、建物の売払価格

第二、土浦海軍航空隊

1 財団法人霞ケ浦農科大学
 使用中の土地の地目別面積、価格、賃料、利用状況、並に建物の種類、棟数、価格、賃料、貸付けた土地建物の目録
2 財団法人日本体育会
 使用中の土地の地目別面積、価格、賃料、利用状況、並に建物の種類、棟数、価格、賃料、貸付けた土地建物の目録
3 筑波郡旭村外六件
 売り払つた建物の棟数、価格

第三、第一海軍航空廠

 日本貿易運輸株式会社、北相馬郡守谷町、鉄道車輌株式会社、財団法人後樂園スタヂアム、阿見町、財団法人世界平和建設団、土浦市、櫻川紡績株式会社、横浜市、朝鮮国際事業総連盟本部、東京鉄道局、土浦女子商業学校、笠間町、舟島村、中村、浮島村、茨城県その他に売却または貸付中の土地、建物の売却価格または賃料

第四、農科大学と日本体育会について

1 特にこの二つの学校に対し、政府が土地建物を提供している理由
2 農科大学は霞空の土地四五、一五一坪、土空の土地八一、六三〇坪合計一二六、七八一坪と霞空の建物一〇、〇〇〇坪、土空の建物三、六五六坪合計一三、六五六坪を使用している。何故にこの学校はこのようにボー大なる土地、建物を必要とするのか。
3 日本体育会は、土空の土地六九、七三〇坪、建物一〇、四五二坪を占拠し、全く不生産的に使用している。何故に政府は、このような学校に対して、このような乱暴なことを許しておくのか。
4 地元民の観察するところによると、右二つの学校は、その事業の内容よりみて、それほどの土地、建物を必要としないし、また、現に活用していない。海軍には「親方日の丸」という隠語があるが、まさにその通りで、城内一帯の土地、建物を占領し、必要以外の必要に向けようとしている。―というのである。日体また然りである。
 私が外歓的にみても同様の感じがする。日体は必要以上の建物、土地を不合理に使用している。農大占領の土地は荒れ、少しも整トンされてないのみか、建物は年々ハソンしつつある。まさに「親方日の丸」の観がある。果して政府は適切なる調査の結果合理、合法的にその使用を許可しているのか、当時よりの経過を説明されたい。

第五、新日本食品工業株式会社等について、右会社その他に対して、政府がとくに利益を提供した理由
 これらの利益提供に介在したブローカー及び役人は誰か。

第六、農耕地復元について

1 これらの軍事施設となつていた土地は、もともと民有の農地、山林、原野で、それを「戦時中特に終戦時に近き昭和十八、九年より急速に軍事施設の拡充、整備を行うため土地の強制的買収、家屋の短期強圧的立退等により」軍が二足三文で掠奪したものである。従つて政府は、終戦と軍のテツ退に即して、軍収用以前の所有者、利用者に返還すべきものである。しかるに、これらの土地を合法的、良心的に処分しないで、軍の占領をそのまま、これらの土地の利益に関係のない資本家学校等に相続したのはいかなる理由か、
2 政府が今日緊急開拓として事業を実施している部分は、台地の霞空城外の部分である。ここは、尤も地質も悪く、農耕地として条件も悪い。そして友部飛行場と共に県下最悪の開拓地である。ところが、土空の所在は湖岸低地であつて、地味もつともよく、もともと水田であつた。阿見町はこの土空所在の低地湖岸の水田を基点として発達し、遠心的に台地高原地に拡散していたものである。
 従つて、阿見町の戦後復興のためには、先づこの土空の水田復元をなすべきである。しかるにこの町の求心部の復興を抑圧し、かつて山林、原野であつた町の外カクに農耕地を開拓するということは、全く変則である。しかも水のある低地を水田にしないで、湖岸より二―三キロの地点にある高原の赤ノツポにバク大な費用をかけて上水し、悪田を造成するというのは、いかなる意味の開拓か。
 また霞空内には、軍所有でない六町ほどの水田畑が霞空が占有し、それがそのご農大、農大職員がそのまま占有して、所有者の耕作を阻んでいるという訴えがあるが、真相はどうか。
3 阿見町農地委員会が土空敷地のうち二五町歩の農地化を茨城県に申請中であるが、これが申請してより一年余、水戸管財支所と学校のために阻害されていると聞くがどうか。
4 政府(または、農林省開拓局、茨城県庁、同県農地委員会)は自らの責任と権限によつて、これらの軍事施設たる土地の実情、また収用前の権利並に利益干係を調査し、これらの土地に干する農民の権利を保全すべきものであると思うが。ここの軍事施設にかぎつて、政府がそのような積極的措置をとつていないのはどうした訳か。
5 これら軍事施設であつた土地の農地復元について阻止的勢力となるものは、公務員たると学校たるとを問はず、農地改革に関する諸法令の掟めに従つて、きびしく弾圧すべきものであるのに、農地復元の進行現在のごとくであるのを放任しておくのはどういう訳か。

第七、軍の装備、その他について

1 第一次答弁では装備なしとあるが、出身兵士の説ではあつたというが、どうか。
2 また、衣料、食料、薬剤、アルコール、石油その他の物資の数量、価格はどうか、それをどのように処分したか。

第八、文化、産業の復興について

1 終戦後、地元民はその文化、産業、経済のため、旧軍事物件をどのように利用したか、具体的に説明されたい。
2 食品会社、紡績会社、学校等と地元民の産業経済と軍事物資がどのように関係し、地元民の産業文化の発達に寄与しているのか、もう少し詳しく説明されたい。